45ったく…


「ったく…。きちんと金ェ置いてくあたり律儀だよなァ」
『…旦那?どうなりました?祐季ちゃん、ちゃんと向かいました?』
「おー。脇目も振らず全力ダッシュしてったぜ」
『やっぱり隊長のこととなるとパワーが凄いですね』
「まぁそうなるんだろ。―んで?俺ァもう出番終わりだろ?報酬も弾んでくれんだろーなァ?」
『俺の独断じゃ何とも言えませんけど、今回は正直かなり助かりました。とりあえず窃盗罪は問わないであげますよ』
「厳しいねェ世の中」
『そんなものでしょ。あ、帰り道に屯所寄って携帯返して下さいね』
「あ?いやいや、これはもう俺のモンだろ」
『月額料金払えるのならそれでもいいですけど』
「今から返しにいっきまーす」




1時間前…


「銀さん、何でこんな朝早くから出掛けるんですか…。まだ眠いですよ」
「そうアル、寝不足は美容の大敵ヨ。シミ出来たらどうしてくれるアルか」
「何だよ、おめーらの大好きな祐季がいなくなンのを防いでやろうってんのにつれねェ奴らだな」
「え…?いなくなるってどういうことですか!?」
「祐季消えちゃうアルか!?」
「詳しいことは知らねェ。だが昨日俺に妙な依頼してきてよ。多分ありゃァ今日、誰にも言わずにどっか遠くに出てく気でいるんだよあいつ」
「ど、どうすれば…!」
「だからこーして朝早くから屯所の前で張ってんだろ。いいか、ぜってェあいつに気付かれんじゃねェぞ」
「わ、分かったアル!」
「……」
「?銀さんその携帯、誰のですか?」
「真選組の山下クンの。昨日パクってきた」
「はイィィィ!?」
「バカ、今から役に立つからいーの。とりあえず電話して…。出ねぇな。まだ誰も起きてねェのか」
「あっ、銀ちゃん、祐季出てきたアルよ!」
「よし、そのまま尾行しろ!見失うなよ!」





「ある程度行ったらグルグル回るように時間潰してますね、祐季さん」
「誰かと待ち合わせでもしてんのか…」
「電話はまだ繋がらないんですか?」
「ちょっと待て。……お、繋がった。やっと見つけたか」
『……?』
「よぉ、真選組の皆さん?」
『その息遣いは…旦那でィ?』
「お前息遣いで判断してんのォォ!?キモッ!声で判断しとけよ!」
『何でェあんたが山崎の携帯…』
「細けェこたァ後だ。とにかくおたくの嬢ちゃん探してんだろ?」
『!』
『おい万事屋、何でお前がそんなこと…』
『ちと黙ってて下せェ土方さん。―んで、何です?」
「嬢ちゃん、目の前にいるぜ」
『っ…あんた…』
「昨日の時点で俺ァ何かおかしいと思ってたんだ。で、今朝おめーらのお宅の前張ってたらビンゴって訳だ」
『ストーカーですかィ』
「おいいい!人が折角手伝ってやろうっててんのに犯罪者扱いですか!これだから警察は!」
『冗談でさァ。…恩に着やすぜ』
「はっ。だがボランティアもここまでだ。万事屋に依頼してくれりゃこの後何だってするぜ?」
『そうですねィ。俺ァ金無ーんで、報酬は……祐季のお酌でどーです?』
「乗った」



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