13何するんですか
「何するんですか、じゃないよ祐季ちゃん」
あれ、…山崎さんも怒ってる? どうしよう。私は怒ってる人間が一番苦手だ。怖い。
「お…おこですか山崎さん」 「激おこだよ」 「激おこ!?」
よかったマジ怒りモードではないらしい。 山崎さんははぁとため息をついた。
「あのね、祐季ちゃん。人の命と床、どっちが大切だと思ってるの」 「え…、でも祐季さんの部屋…皆さんの大切な祐季さんのお部屋ですよ」 「だとしても。ていうか、祐季ちゃんも勿論大切だけど、」
君だって十分大切なんだからね。 山崎さんはそう言ってから、
「隊長もきっと、そう思ってるよ」
それじゃあ安静にしててね、と道具を片付けて部屋を出て行った。
…ふ、おおお、ふおおおお! どうしたもんか、山崎さんスゴイかっこいい。なんかちょっとドキドキするもん。してるもん。 銀さんに会ったときなんて『銀さんだ(笑)』くらいしか思わなかったのに、凄いなこの差。真選組強し。
一人になった部屋で、これからのことを考えた。 祐季さんと入れ替わった事実は変わらない。今のところ、打開する術もない。正直なところ、私はこの世界に来れて―
「(嬉しい)」
そう思ってしまう以上、どうにもできない。
それなら、私は―――
「おい祐季。入るぞ」 「わわっ、その声は土方さんですね。どうぞどうぞ」
ガラッと襖を開けて土方さんが入ってくる。 目線は真っ先に右腕。
「怪我、したんだってな」 「あ、はい。でも沖田さんと山崎さんが手当てしてくださって、全然平気です」 「すまねェ」
何故か突然、土方さんが謝った。 心当たりがなさ過ぎてキョトンとする。私何かされたっけ?まだマヨネーズ攻撃はされてないし。
「あの、土方さん?」 「祐季の懐に銃が入ってたのは、俺も知ってた。回収すべきだった」 「あ……」
なるほど、そういうことか。 私はなんでもないという風に手を振った。
「いえいえ、私の不注意です。自業自得ですから」 「こんな怪我されて、そうもいくか」 「気にしないでください。今はホラ、こうして動かせますし、撃たれても全然痛くなかったですよ!私毒耐性あるのかも」 「お前なァ…そういう嘘吐くな」 「嘘じゃないですよォ」 「銃で撃たれて平気な奴がいるかバカタレ」
ああ、そっか。土方さんは侍だから、責任を取らないと気が済まないのかも。 うーむ、それなら、
「土方さん、そんならちょっと私の我儘聞いてくれません?」 「何だ?」 「銃の使い方、教えてください」
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