ゆらり、ゆらり、

あたしの身体が揺れている気がする。
規則的でありながら不規則的。

鼻腔を擽るのはベルガモットの香り。
その香りが妙に心地良くてその胸に額を擦りつけると、ぴくりと小さく震えた体。
不思議に思ったけど、とろとろとした眠気がそんなことどうでもいいと匙を投げる。

固まっていたその人はようやく歩き始めた。

また不規則的な震動が始まる。

額を寄せたことで、より一層強くなる香り。
その香りがあたしの眠りを深くしていく。

あたしの身体を落としそうになったらしく、抱え直す。

キィ…と気を遣っているのか小さな扉の開く音。

やさしくベッドの上に寝かされたのがスプリングの軋む音でわかった。

どこか無意識的に彼の腕を掴む。

「はる……と…」

掠れた声で彼の名前を呼べば、額にやわらかな質感のものが触れる。
唇なのだと理解するまでに数秒を有した。

気づいて、彼の腕を掴んでいる手を離せば、なにかを呟くように顎が動いて酷くくすぐったい。

酷く甘くてあたしの眠りが深いところまで堕ちていく気がした―――。





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