02

その後、ようやく朝食の時間が訪れたが、名前の食欲は無かった
あーもう、なんか食べ物見てるだけで吐きそう…
でもなんか食べないと怪しまれるもんね
そう思い名前は目の前にあるサラダや、クロワッサンを数口食べる
「………」
その様子を無言で見つめる朔だが、それに名前は気づかない
『…私、もうお腹いっぱいだから部屋に戻るね』
そういうと、立ち上がり部屋に戻って行く
「何だか名前の元気がありませんね…喰くん、いったい寝起きの名前に何したんですかぁ?」
「ぶっ!」
「朔ちゃん、汚いですっ!お茶吹き出さないでくださいっ!!」
「す、すまん…」
「僕は何もしてないよ。ただ眠そうな名前を起こしてあげただけだから」
「な〜んか胡散臭いですぅ」
キイチが眉間にシワを寄せて喰を睨む
当の喰は、涼しい顔で受け流している
「……じゃあ、俺はそろそろ仕事の準備してくるわ」
朔が突然そう言うと、静かに立ち上がった
「え、朔ちゃん全然食べてませんよ?」
「んーワリ。俺もあんま食欲ないんだよな」
「あんまり無理しちゃいけませんからね」
大丈夫、と朔は短く返事して部屋を出て行った



さて、と……
つい名前が心配で出てきたがどうしよーか
そういえばあんまメシ食ってなかったよな…ゼリーでも持ってくか
するとちょうどそばを兎が通りかかった
「あ、兎。ワリーんだけど急ぎ目でゼリー持ってきてくれないか?」
〔ゼリーウサ?了解ウサ〕
俺が言った急ぎ目を意識してるのか、あいつなりに頑張って走って行く
それじゃあそれまでに名前の部屋にいくか
…ん?俺がここまでする理由?そりゃ男が女にここまでするっていったら一つしかねーだろ
俗にいう恋愛ってやつ?
まぁ、きっと名前にはこの想いを伝えることなんてないだろうけどな
それに名前は喰と仲良さそうだし…
別に対抗心とか奪おうと考えてねーよ。若者同士の方が気が合うだろうしな
……結局、心配で様子を見に行くぐらい重症だけど
あ、もう名前の部屋か…。兎はまだか?
〔朔、いたウサ!さっきの所にいないから探したウサ。これ、ゼリーウサ〕
「おぉ、サンキュ」
俺は兎からお盆に乗ったゼリーを受け取ると名前の部屋のドアをノックする
『…はい?』
「俺、朔だけど…“ガタンッ”
俺が名乗ると、急に部屋の中が騒がしくなり、しばらくすると控えめにドアが開いた
『あ、あの…どうして朔さんがここに?仕事の話とかですか?』
「いや、朝からお前の様子が変だったからよ、様子見に来たんだ。ゼリーあるけど食えるか?」
『は、はい。ありがとうございます…』
そう言うと、名前はドアを大きく開けた
部屋に入ると、角に大量の本が山積みになっている。この本こそ、名前の寝不足を作り出す原因だ。すると、さっきの物音はこの本を片付けていた音かもしれない
「相変わらず本がたくさんあるんだな」
『…………』
「名前?」
『え、あ、はっはい』
見ると、さっきからずっとベットに座って下を向いている
具合でも悪いのか?
「大丈夫か………っ」
名前の顔の下に回り込んで見て息を飲む
顔が真っ赤なのだ。さらに目までギュッと瞑ってやがる
「……名前?」
遠慮がちに声をかけると、恐る恐る目が開く
『つ、朔さん……』
名前の揺れた目が俺を捉える
………俺の中でなにかが弾け飛んだ
ドサッ
俺は一口分のゼリーを口に含むと、名前をそのままベットに押し倒す
『あ、あの……どうかし…っ!』
そして、小さく開いた口に無理矢理俺の舌を入れる。もちろんゼリー付きで
『…んっ……!』
名前の喉が動いたのを確認して、唇を離す
小さく呼吸を繰り返す名前を見て、徐々に理性が戻ってきた
あぁ…俺、名前に………
『えと、朔さん…これt「わり、もう帰るわ」
これ以上名前のそばにはいられなかった。足早に名前の部屋を出る
ガチャン…
朔の閉めたドアの音が大きく響く
残された名前は最後、朔に聞きたかったことが頭から離れない
“これって、期待して良いってことですか?”



一方、部屋を出た朔
長い廊下を歩いていると、前から歩いてくる人物ー喰が微笑んでいた

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