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輪【サーカス】第壱號艇のとある朝ー
第壱號艇闘員である名前は、兎に起こされていた


〔起床時間ウサ。早く起きるウサ〕
『んー……あと10分だけ……』
まだ寝足りないのか、モゾモゾと兎に背を向ける
〔それじゃあだめウサ。もう朔も起きてるウサ〕
『……じゃあ、先にご飯食べててくださいって言っといてー』
すると、兎からの返事がなくなった
……代わりに聞こえてきたのは
「名前ちゃんだけいないって訳にはいかないんだけど」
『じ、喰っ!?』
いつの間にか、同僚である喰が名前を見下ろしている
「おはよう、名前ちゃん。いいお目覚めだね」
口元は笑っているが、目が笑っていない
……やばい、確実に機嫌悪くなってるんだけど
『…えーと、じゃあ取り敢えず着替えるので喰サマはお部屋を出てくれると…「却下」
ソロソロとベットを抜け出した名前の腕を掴む
「僕を朝から働かせたんだからそれなりの覚悟があるってことだよね」
『ひぃいっ!』
そう言うと、喰がポッケから小瓶を取り出す
『……そ、それは』
「眠気が一瞬で消える薬草だよ。ちょっと苦いけど“君のため”だから仕方ないよね」
『やだやだやだ、そんなのちょー苦いに決まってんじゃんっ!』
「つべこべ言わずに食べる!」
ギャーギャー騒ぐ名前の口に、無理矢理薬草をいれる喰
『……っ!!』
直後、苦いなんかじゃ表現しきれない味が名前を襲う
吐き出そうとすると「出したら朝ごはんにもコレ入れるよ」と小瓶を見せながら脅してくる
ようやく飲み込んだ名前だが、顔色は最悪だ
「どう?眠気はとんだ?」
『えぇとんだわ!!ついでに意識も飛びそうだったわっ!!』
「それは良かった。じゃあみんなのところへ行くよ」
そう言うと、グイグイと名前を引っ張っていく
『ちょ、まだ私着替えてないんだけど』
「んー気にしない気にしない♪」




「名前、遅すぎですぅ…って何でまだパジャマなんですかぁ!?」
食堂(?)へ行くと、真っ先にキイチの高い声が響いた
『ん、ちょっとね』
「顔色も真っ青じゃないですかぁ」
『…ん、ちょっとね』
「あれ、喰くん。その小瓶はn『あぁーっ!!それはいいから!ねっ』
悪魔の薬草(勝手に命名)に興味を持ったキイチを慌ててとめる
「まぁ、とにかく座れよ。名前」
奥に座っていた朔が、自分の隣の椅子を指して勧める
『あ、はい。ありがとうございます』
あーもう朔さんの前だってのに、悪魔の薬草のせいで気分悪い
別に朔さんと付き合っている訳じゃない
でも憧れている。もちろん上司としてでもあるけど、一人の男として
まぁ、こんな想いなんて朔さんに言っても通じないと思うし
きっと“好きです”って言っても“おぉ、ありがと”で終わりそう
ハァ……なんか憂鬱な朝だ。起きてからロクなことない
「おい、名前。大丈夫か?ポーッとして」
『え……?』
朔さんの声がして顔を上げると、視界いっぱいに朔さんが映る
『……っ//』
いきなりのことで頭がパニックになり、恥ずかしさがこみ上げてきて思わず顔を伏せた
………前言撤回。朔さんが心配してくれたからいい朝だ

ーーそんな様子を、朔は首を傾げて眺め、喰は冷ややかな目で見ていた



To be continued………

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