05

しばらくすると、言われた通り研案塔は忙しくなってきた。普段は資料の整理程度の名前でも、怪我をした戦闘員の手当てや、大量の報告書の処理に追われている
『……ふぅ〜』
大方仕事が終わり、溜まった疲れが口から出たときには、既に日が暮れ始めていた。それでも研案塔はまだざわついている
看護師たちの話を聞いていると、明日はZの円卓で会議が決まったそうだ。当然、燭も呼ばれている
『やっぱ無理かぁ……』
そのまま大きく伸びをすると、自室で残りの仕事に取りかかった


『ん……っ!』
気がついたら、辺りが明るくなっている。窓からの日射しが眩しい
『…あれ、もしかして朝!?』
どうやら仕事をしながら寝てしまったようだ。ガバッと起き上がると、体から何か落ちた
『タオルケット……?』
ここは自室。夜中にこんなことできるのは一人しかいない……


燭side
予想以上の怪我人の数に、報告書、看護師への指示、療師のサポート…それらを繰り返していたら、日付が変わってしまった。明日はZの円卓に呼ばれているため、朝が早い。まだやるべきことは残したままだが、ここは一旦寝るべきだろう
そう思い、名前の寝ている自室に入ると
「……!」
名前が机に突っ伏した状態で寝ていた。机の上に資料があるところを見ると、仕事をしながら寝てしまったらしい
「まったく…無防備すぎる」
この部屋に誰か入ってきたらどうするんだ
部屋を見渡し、タオルケットを見つけると、そっと名前の体に掛ける
『ん………』
起こしたか?
『あ、…あか……り………』
寝言か…紛らわしい
『……無理…か……な』
「っ!」
会議があるため、恐らく明日はダメになるだろう。きっと名前はそのことを言っているのだ
そう思うと、悔しさで胸がいっぱいになった。彼氏なのに何もしてあげられない。寂しいときにそばにいてやれない

こんな彼氏じゃ

燭はゆっくりと名前を後ろから抱きしめる。

大切な人を幸せになんて

起こさないよう慎重に、離さないようしっかりと

それでも構わない

そして首に顔をうずめて長めのキスをひとつ

私は………

『……愛してる、名前』




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