へんなゆめ

「夢に、引っ張られる……」

ダイゴが連れてきてくれた母は安心したように私の頬を撫でて私に起きたことを教えてくれた。

どうやら私は「夢に引っ張られていた」みたいで、いつ目が覚めるのか定かでは無かったらしい。


「そんなことってあるの?」

ダイゴが私に変わって母に質問した。身を以て体験した私ですら半信半疑なのだ。疑うのはしょうがない。

母も半笑いで口を開いた。


「イッシュ地方にはムシャーナ、というポケモンもいるくらいだから、そういうこともある、ってお医者様は言っていたの」

「でも目が覚めて良かったね!……、アクアも本調子じゃないみたいだし今日は出直すね。」

「ごめんね、ダイゴくんさえよければまた来てやって」


私も母に釣られてぺこりとお礼をする。
ダイゴは笑ってまたくるね、そう言って母に見送られて帰った。


「……夢……か……」


まるで本当にあったことを辿っているみたいだったな、と夢の内容を思い出そうとするが何故か思い出せなかった。


「……うーん……」

「あら、まだ寝てさい。何か作ってきてあげるから」

ベットから起き上がると体が軋む音がした。半信半疑だったがこの体の硬さからしてどうやら本当に3日も寝ていたらしい。
するとダイゴを見送った母が戻ってきて慌てて私をベットに戻された。


「なによ〜アクア なんてあだ名付けてもらっちゃって!そんなに仲良くなっていたのね」

「……うん、そうだね」

「……でも本当に良かったわ……本人から目覚めないと目が覚める方法がないって言われて居たからすごくもどかしい思いをしていたのよ。」


頬にそっ、と手を重ねられ母の温かさがじんわりと伝わった。
でも、「私」のお母さんじゃない、この優しい人は「私」が取ってしまった人で、、?

考えが纏まらずぐるぐるしているとふふ、っと母が笑った。
私が首を傾げていると母ににこやかに口を開いた。


「貴女起きる気配が無かったのにダイゴくんがお見舞いに来たら目が覚めちゃうんだもの。まるで眠の姫と王子さまね」

「おうじ、さま」


その言葉を理解した瞬間カーーーっと熱が上がった気がした。


母はあらあら、とニヤニヤしてなにやらご機嫌だったが。




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