血の誓を
一人で死ねると思わないでくださいね、
私は気絶する暗夜軍の皆さんを尻目に動かなくなったジョーカーさんを咥えて、引きづっていく。
どうやら竜の状態で暴れたらしい。記憶が曖昧だがそこら中に荒々しく残る竜の爪痕がそれを物語っていた。
無けなしの理性で暗夜の皆さんは気絶で住んでいる。微かだか呼吸を確かめた。その内彼らの部下達も駆けつけてくるだろう。
ならば私はこの抱えている体が完全に冷たくなる前にしなければならない事がある。
「……、思い出してしまったんで、……すよ」
貴方が誰よりも大切だったって事を
貴方が死んでしまったら私に生きていく価値は無いということを
貴方の人生を奪ってしまったことを
貴方が、愛しいという気持ちを
はっ、と息を吐く。
彼に私の声は聞こえているのか、分からないけど私は、私の口は止まらなかった。
「りゅう、の血には……」
「呪いをかけれるんです、よ……」
ごボッ、血が口から漏れる。先程、暴れた際に誰かしらが致命傷を与えたのだろう。仕方がない。抵抗されなければ私も相手を殺していたかもしれないからだ。
そしてこの傷ではもう助からないことは知っている。傷を与えたのは残っていた白夜だったのだろうか?ドラゴンキラー、と呼ばれる竜へ致命傷を与えられるソレで傷つけられたその傷はジクジクと傷んで止まなかった。
でも今はそんなことより、だ。
思い出した。思い出して"しまった"
そう、記憶が言っている。シャラさん、そうだシャラさんという術者が白夜で教えてくれた。記憶がそう囁いている。
「とくべ、つな呪いです、竜の血を、……使うと……、……でき、るんですって、……」
私は自分勝手にこの人の人生を変えてしまったんです。
ならばもう一度、と願ってもいいでしょうか?
「っ間違えてしまった、からまた、ね?」
「ッカムイ……待って……!!!!」
私の後ろ足を誰かが掴む感触がした。
ふと視線をそちらに移すと、この世界での最愛の人が傷だらけになって私の事を掴んでいた。
「……っごめん、なさいラズワ、るド……さん、私はや……っぱり、この人が好きみ、たぃ……です」
もう、かれの呼吸はほぼない。だから急がないと、
ラズワルドさんから逃れるように竜化を解いて、その手を振り払うと私の血を無理やりジョーカーさんに飲ませる、
「ああ……でも、……貴方のことは……本当に、すき……だったんです 」
「……ねえ待ってよ!!ねぇ!!カムイ!!カムイまで……っ僕を置いて行かないで……!!」
「だ、い、じょぶです……また会えますよ……」
だから笑って、
私は血塗れの顔で、微笑む
「ソレイユの事、頼みます……ね」
彼女は「未来」へ繋いでくれる、大切な娘なんですから
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