のぞむものは、
毎日毎日雪が積もっていき、外の世界は白しか見えない。そこはとても、とても寒い城だった。
そんな場所に、一人。窓越しに降る雪を見つめる姫がいた。……その場所は城、と言えば聞こえはいい気がするが、ぼろぼろの壁面や手入れの行き届いていない庭を見るととても「王城」などと豪華な響きとは無縁の建物に見えた。
だがその姫はそんなぼろぼろ、なお城でもニコニコと雪を眺めて笑っていた。
その理由は「大切な人」ができたからだ。
「積もりましたね!」
「カムイ様。窓の近くはお寒いのでは?」
「さむくないです!ジョーカーさんが一緒ですから」
姫の名前はカムイ。一人は寂しい、そう兄のマークスに懇願した所兄はある日、一人の少年の使用人を連れてきた。
カムイは初めて見た時からその使用人の男の子……ジョーカーを好きになった。容姿?性格?分からない。でもとにかく彼女は彼に惹かれたのだ。
それからは彼女は毎日が楽しかった。一緒にいられるだけで、嬉しかったのだ。
そして、それは彼も、同じ気持ちだった。
「カムイ様。窓際は冷えます。どうでしょう、絵本などは……」
最近、ジョーカーは読み聞かせをカムイにする事が好きだった。一文字一句、主である少女が喜んでくれることが何よりも幸せだったのだ。
「読み聞かせは嬉しいですけど……この間みたいに人魚姫は悲しいお話なので嫌です」
「お気に召しませんでしたか……?では別のお話を……王子様とお姫様が結ばれるお話ならまだありますよ」
「む……ならここにいるお姫様達は私がなりたい姫じゃないです!」
新しい絵本に手にかけたジョーカーの手をカムイは掴んだ。違う。「王子様」となんて幸せになれなくていいのだ。
「お姫様としつじが幸せになれるお話を作りましょう!!」
王女は、「孤独を救ってくれた」執事が何よりも大切だった。
だから、今度は、絶対
「二人で幸せになりましょうね」
そう言ってカムイは微笑えんだ。
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