Helianthus Annuus | ナノ
目的一致 [ 84/156 ]

私が固まっている間に話が付いたのか。気がつけば
猫……はアイゼンが追い払ってくれたらしく、いなくなっていた。

「アイフリード……のこと、わかった……?」

「応!リアが立ったまま気絶している間にアイフリードとやらが聖寮の連中に捕まっていることがわかったぞ!」

「だからこいつらとは暫く目的を共にする。標的は互いに聖寮だ」

そしてこの人の賑わいはライフィセット曰く、「式典」というのが聖寮の本部?って所で行われるから、この先の王都、って人の都に皆で行くことになった、と。

「ベンウィック……たちは……?」

「船の修繕と補給、それに探索だ。あまり大人数で目立ってもしょうがないだろ」

それもそうか、とアイゼンのあとに続く。……あの猫って業魔がまだいるかもしれないからアイゼンの背中にしがみついたままだがアイゼンは特に嫌がる様子もないためそのままくっついていた。が、マギルゥがこれこれ、そんなことをしてると目立つぞーと引き剥がされた。

「お主もされるがままになっとる場合かーい!目立つなって言った副長がバカップルみたいにいちゃつくでない!」

「なんか……マギルゥ、怒ってる……?」

「独り身魔女の寂しい僻みだな」

「ひがみ……?」

「そんなわけあるかーい!!」

「……はぁ……」

やかましい、とため息を吐いたベルベットがマギルゥを一度業魔の手の方でデコピンするとひとまずゼクソン港で一泊してから王都を目指すわよ。そう、話を纏めて食料を買い込んだ後、皆で街の入口にある宿屋に泊まる事になった。


「ここ……街じゃなくて……港なんだ……」

「リアは人の街は初めてなのか?」

「う、ん……小さい港町……なら、一年前行ったことあるけどここまで大きいところは……はじめて……」


アイゼンが受付をして終わると部屋の鍵を渡される。ちょうど二部屋、男女で別れることになったらしい。宿屋の二階に上がると疲れたのう、と真っ先に部屋に入っていくマギルゥと「オレたちはこっちな」と私たちの部屋の隣を指してロクロウとライフィセットも抱えた荷物を持って扉を開ける。

私は部屋に入らずにいるアイゼンをじっと見つめた。きっと、彼はこの後もアイフリードの情報を探しに行くのだろう。

「……ね、…聖寮の人……なんでアイフリードを連れていったんだろう……?」

「知らん……だが嫌な予感がする。……お前こうして戻ってきたんだ。悪運の強いやつの事だアイフリードもきっと無事だ」

「……うん、」

そうだといいな、と久しく見ていない顎鬚の男を思い浮かべる。あんなに元気そうだったのに、……あの時の聖隷に負けた、という事だろうか?彼が?想像出来ない。悶々、?と悩んでいると色々あったんだ、先に寝ていろ、ってアイゼンは私の頭を撫でてそのまま宿を後にする、
それを見送って部屋に入るとマギルゥがベットに寝そべったままそうじゃ、と思い出したように話しかけてきた。


「エリアスは船長を知ってるのかの?」

「……えっと、サボり魔で……いつもアイゼンに殴られてた……」

「碌でもない人って事しか分からないわよそれだと」

「……?でも、優しかった、……よ」


いつだって豪快に笑って、死神の不幸を不幸だと思わずに楽しんでいたアイフリード。
確かに、海賊という立場だと印象は悪いかもしれないけど私にとっては、アイゼン同様、恩人で、「大切な人」だ。


「はやく……会えるといいな……」

「……海賊のぅ……いつからあいつらといたんじゃ?」

「あんた、やたらエリアスに突っかかるわね。どうでもいい。んじゃなかったの?」

そうなの?、まだ付き合いは短いがこれが彼女の距離感ではないのかとそうマギルゥを見ると肩をすくめてニヒルに笑うだけだ。

「人魚というのはレアじゃからのぉ。魔女のお供には黒猫、ブタザル、人外というのがお決まりじゃて〜」

「ブタザル……?」

「可愛いー可愛いー憎い裏切り者じゃ。今頃何をしておるのやら……」

「可愛い、のに……にくいの?」

「…………「空っぽ」な奴にはわからん感情かもしれんの」


?、マギルゥの言葉は、たまによく分からない。
ベルベットは慣れているのか、いいからほら寝るわよ。と寝る準備をし始めているので結局マギルゥとはちゃんとお話できないまま宿屋の灯りは消されてしまった。


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