タイミングを逃す [ 26/156 ]
う〜んささっと退散していればよかったのかなぁ…
なんやかんやでアイゼンとこの島で過ごして10日も経っていた。
私自身は難波した訳じゃないしいつでもこの島から出ていく事は出来た。何だって私は人魚だ。水の中にさえにげてしまえば大丈夫……
……なのだが…
ここ10日で分かったのはアイゼンという男は…その…大の大人にこういうこと言うのはアレなんだけど…放って置けないというか…目を離せない存在だった。
だって昨日も2人で頑張って焚いた火を1分もしない内に強風が吹いて消えちゃうし、
実ってるココナッツ取りに行ったら全部虫食いで食べれないし魚を取ろうとすると海に落ちてまた海藻が絡まって溺れかけるという見ていて可哀想な程不運なのだ。
アイゼン曰く「死神の呪い」とかいうものが原因らしく、よく分かんないけど不運なことがいっぱい起きるらしい。
「……お前は…怪我とかないのか?」
「ああそう言えば特にないねぇ」
気を使うようなアイゼンの視線にどうやらその呪いとやらは他人にも影響があるのかな?…いや普通に私が人間だったら餓死していてもおかしくないかも、…しれない。
「私の運が強いのかな?」
「そんな物でどうにかなる呪いじゃないんだがな…」
でも2番目のお姉ちゃん曰く、人魚とは幸運の存在みたいで不運なんてホントに跳ね返してるんじゃないかな?なんて言えない答えを思い浮かべて1人で完結した。
「あっそんな事よりアイゼン、今日のご飯はどうするの?」
「釣りに行く」
「え」
アイゼンはドヤ顔をして先日木の枝と蔦を組み合わせて作ったお手製の釣竿を片手に満足気に頷いた。
「なんだその顔は…大丈夫だ。今日こそは釣れる、気がする」
「不安しかない」
その数分後予想通りせっかく作った釣竿を真っ二つにして持って帰ってきたアイゼンに
………やっぱもう少し彼のこと見ていよう
そう思ってしまったのは仕方が無いと思う。