05ストーリーの始まり

それから、
忙しい日々を過ごし、
とぶように毎日が過ぎていった。


そのなかで、気づいたことは
確かにあのストーリーの始まりに近づいていること。




今は、九月の中旬。
夏が終わったというのにまだ暑い日が続いていた。


そんな中、ついにきてしまったのだ。


あの日が…。




いつものように体質系の教室に入ろうとしたら、
ナルがいない。


あいつは授業放棄して
どこ行った〜!?


「五島ー!ナルはどこ行った?」


「あ、さっきね、初等部の日向棗が脱走するとかいう噂がたったから、外見に行ったよ。」


「え、うっそ。棗が?」


棗が脱走?
ってことはあの日がついに
きちゃった…ってこと?


どうしよう、校長先生に言いにいった方がいいのかな。


まあ、考えてても仕方ないから
とにかく行ってみよう!


「五島ごめん!私ちょっとナルんとこいってくる!」


「あ、ちょっと友梨先輩?」


もし蜜柑がいたら
私はどうしたらいいの?
帰らせた方がいいの?



なんて考えていると、門のほうから人影が。


「あれー。友梨ちゃんどうしたの?」


「ナル授業サボってなにして‥誰その子?」


とりあえず、何も知らない風に聞いてみる。


ツインテールの可愛い女の子。


うそ‥でしょ‥‥‥。
漫画からそのまま出てきたように
あの子そっくり。



「この子の名前は佐倉蜜柑ちゃん。棗くんを連れ戻そうとしたら、丁度その場にいたんだ。」


「そっか。で、その子はアリスはあるの?」


「予想だけどね。」


「なあ、お姉さんってこの学園の生徒さんなん?」


「そうだよ。」


「わぁ!ほなら、うちの先輩になるんやな?先輩名前なんて言うん?」


「そうだね!私は川崎友梨。高等部三年で、生徒会役員です。よろしくね、蜜柑ちゃん。」


「友梨先輩かぁ!ええ名前やね!よろしくお願いします!」


「ありがとう!」




にこーっと笑って言った。
この子の笑顔すごいな。
こっちまで笑顔になる。


この子があの蜜柑。
あの漫画の主人公の。これからいばらの道を進むことになる。
そして、私の唯一のいとこ。


この時、私は決めた。
何が何でもこの子を守らなきゃって。


だってストーリーだって変えることは出来るんだ。
柚香さんが死んだり、蜜柑が学園を出なくても済むような未来だって作れるんだ。


だったら蜜柑を側で守っていかなきゃ。




「さあ、じゃあ僕は初校長に伝えに行って来るから、友梨ちゃん、蜜柑ちゃんと棗くんこの部屋で見ててね?」


「はいよ、了解。」


まあ、この学園に入るなら
あいつにも言わなきゃだもんね。




「なあ友梨先輩!この、黒ねこってなんなん?」


「この子はね、とても強いアリスを持ってるの。炎のアリスでね。学園では凄い危険な奴って言われてて‥。だからこのお面を付けられてるの。黒猫は避けて通れって言うじゃない?」


「そうなんか。」


「でも、この子は根は優しい子なの。この学園はこの子の弱みを握って、この子の強力なアリスを使ってるのよ。」


「この学園が?先生達が悪い人いうこと?」


「みんながみんなって訳じゃないけど、だいたいは見て見ぬ振りしてるからね。だから安易に先生信じちゃダメだから。」


「そうなんか、忠告ありがとうな!」


「まあ、とりあえず何かあったら私に言って?私はあなたを裏切らないから。絶対一生味方だから。」


「友梨先輩何やそれー。なんか恥ずかしいわぁ。」


まあ、そりゃ急にこんなこと言われたら誰でもビビるわな。


「(コンコン)入るぞー。」


「岬先生何ですか?」


「お、川崎いたのか。いや、鳴海がここに行けって‥それ棗か?」


「そう。ってか私トイレ行きたいんだ。だから岬先生見ててね。何があってもこの部屋離れないでね。」


「ああ、分かってる。」


じゃないと蜜柑パンツ見られちゃうからね。






「ギャアァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」


この、岬めー!
あの部屋出たなー?


「蜜柑ちゃん大丈夫?」


「友梨せんばぁい。バンヅぬがざれダァァ!!!!!!!!!!!!」


「じゃあな、水玉。」


「なつめ‥‥。遅かったか。」


「おい、大丈夫か?」


「岬先生。見ててって言ったよね?何があってもって。」


「わ、悪い。温室に侵入者が‥‥。何でもない。」


「はぁ。岬先生をあてにしたのが悪うございました。」


こいつ本当に使えないんだから!もう!


「んなっ!」


「蜜柑ちゃん!大丈夫だった?ほら、泣かないで!ナルが今かわいい制服持ってきてくれるから!!」


「ほんま?」


〜着替え中〜



「蜜柑ちゃん似合うよ!」


「ほんまー?」


「ほんまほんまー。あはははは〜。」


「うふふふふ〜。」



機嫌なおるの早いな。
まだ子供だもんねー。
かわいいな、本当に。


コンコン


「「失礼します。」」


「あっ来た来た。蜜柑ちゃん初等部B組の委員長と副委員長だよ。」


がチャッ

「えっ。うそっほ、ほーたるー!!!!!!!!!!!!!!」


「蜜柑‥‥。寄るな鼻水女!!!!!」


あ、感動の再会の場面ね、はいはい。





「あら、あなたは高等部の入学してすぐに生徒会役員になった川崎友梨さんですよね。」


と蛍ちゃん。しっかりした美人さんだわ、小学生なのに。


「そうだよ。あなたは今井蛍ちゃんね?それからあなたは飛田裕くんね?」


「僕のこと知ってるんですか?」


「知ってるもなにも二人とも有名じゃない。」


「蛍も?そうなん?」


「まあ、そうね。」


さすが蛍様!


「さあ、お話はそろそろ終わりにして、教室に行きますか。友梨ちゃんありがとう。」


「いえいえ。それじゃあ。」




さあ、とりあえずあそこへ行かなきゃ。




[ 6/9 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -