act 13

「行かないで!!」




沖田は、神楽が出て行った後、すぐにミツバに呼ばれ、すぐに神楽の名を叫ぶが、砂浜を駆ける神楽には声は届かなかったらしく、すぐに追いかけようとするが、その腕はうららにキツク握られた

「離せ!!」
総悟は、駆けていった神楽の事が気になり、ついつい声を大きくさせた

「嫌!!離さない!」
しかし、負けじとうららも食いつく

その海辺の口論を砂地で見てる6人は、仲裁にはいろうかと悩んでいた

「私の事見てよ!神楽ちゃんより、ずっと綺麗で、ずっとスタイルだって良い!何でそんなに総悟が執着するのか分かんないよ!」
うららは、沖田の前に回り、肩を持って、自分を見てと言う

「そんな事俺にだってわかんねぇ!!ただ、アイツを好きなだけでさぁ!」
総悟は、うららを引き離し、神楽の元へと思うが、うららは、絶対に離さなかった

「私の事、好きだった!!??」
うららの、叫びに近い言葉が、総悟の動きを止める。そして、うららは、切なそうな顔をし、もう一度、ゆっくりと沖田に質問を投げかけた

「私の事・・好きだった??・・・・・・・」
沖田の表情はみるみる曇った。その表情を、一番近くでうららは見る
すでに、目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだった

「・・・・ごめん・・・・・」
沖田の顔も、うららに匹敵するほど、切ない表情と変えた
爪が食い込むほど強く握り締めていた、沖田の腕。その手は、段々と力尽き、ゆっくりと両手は落ちた。体は震え、何も言葉を発することが出来ない、うらら。俯き、ほんの少しだけ、その震えて、俯く自分に、沖田が手を差し伸べてくれるかと期待する。

「憎んでくれてもかまわねぇ・・恨んでくれても俺は良いでさぁ・・だけどアイツには・・神楽には手を出さねぇでくれ・・・。神楽を守りたい・・俺は・・アイツの事・・・」

パンっ!!

言い終わるが前に、沖田の頬は、高い音を出して、うららに叩かれた
沖田は何も言わない、痛み走る頬を押さえ、うららの方を向く、うららは今だ俯いたまま震えている

一瞬手を思わず出しそうになる。少なくとも一年付き合った相手。嫌いではなかった、それは分かる。
嫌いな相手と一緒に行動を共にすることが出来るはずがない事は、自分が一番よくわかっている
少なくとも、自分の事をコレでもかと好きでいてくれた。今更ながら、一年の事が走馬灯の如く頭に流れてきた

誕生日、クリスマス、正月、うららが望んだとはいえ、その時誰よりも近くに居た事は確かだ
はにかむ様な笑顔も、強気な態度も、本当は、それなりに好きだったんではないのか?
付き合ううちに、ほんの少しでも気持ちはあったんじゃないのか・・・
じゃ無ければ、こんなにも震え、俯くうららに、切なくなるはずが無い・・
同情じゃなかったのかも知れない・・・

沖田の手は、俯き、自分の前に流れる綺麗な黒髪に思わず触れそうになる
しかし、その手を、その場できつく握り締め、低い声で、ごめんとつぶやいた後、すれ違うように、神楽の後を追った








「初めから・・・知ってたもん・・総悟は、私の事好きじゃないって・・。いつだって総悟から、好きだなんて、言われた事なんて無かった。いつも私ばかり。どんな時でも私ばかり。総悟は体だけ・・・そんなの・・知ってた。
でも、悔しいじゃない・・あの子には、私には見せない表情・・見たことの無い表情、沢山見せてた。寄り添って、幸せそうで、堪んなかった・・・・。
少し位意地悪したって・・・・・・・・ふっ・・・ヒック・・うっ・・・・」

沖田の前では、絶対涙なんて見せないと、神楽見たく強気なうららに出来る最後の強がり・・・
友達に囲まれて、その涙腺は、儚く崩壊した。
お妙に、うららはしがみ付く様に抱きつき、夢中で泣いた。顔をくしゃくしゃにし、今まで強がって我慢してきた分、もう何も我慢しなくていいと、思い切り声をだして泣く。近藤も高杉も、土方も、うららの頭を交互によしよしと撫でてやる。ミツバ、また子は、お妙にしがみつくうららの体を、強く抱き締めた。

お妙の頬は、気が付くと、沢山の涙を流していた。そんな自分の涙に気が付くと、涙を開放するように声を出して泣く
その30cm先では、同じように、ミツバも、また子も、頬を濡らしていた

確かに、間違ってはいたかも知れない
でも、気持ちはいつだって神楽と同じものだった。むしろ本当に神楽よりずっと強く思ってたのかもしれない
報われない分・・・・・
自分の腕の中で、ただただ、泣き続ける友達を、ひたすら強く抱き締め続けた



……To Be Continued…

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