act 32

「僕が右!」
「俺が右でさぁ!」
「だぁぁぁ!もぅ!どっちだって同じアル!。」
ダブルベット、沖田を真ん中にまた始まった隼人と蒼の言い合い。
どっちが沖田の右に寝るかと言う、しょうもない事。神楽はベットの脇で声を張り上げていた。
そんな他愛も無い光景。子供が我侭を言い、それを当たり前に母親が叱る。
たったそれだけの行為の中心に自分が居る。それが嬉しく、沖田はふっと笑みを浮かべた。
神楽は全く、そんな事に気付かず、中々この双子に手をやいていた。
あまりにも譲らない性格…これはどちらに似たのだろう…沖田はその笑みの奥で考えた。

「あぁ!分かったアル!そんっなに二人とも言う事を聞かないならマミーにも考えがあるヨ!」
一際大きな声をだす神楽の言葉に、思わず隼人と蒼はちっちゃい喉を鳴らした。
神楽はにやりと笑う。
すると沖田が寝ているダブルベットの真ん中、沖田の隣を陣取った。
「マミーがパピーの横で寝るアルぅぅぅ!!」

「「エエーーー!!」」
沖田の座っている隣にもぐりこむと、その瞳をイタズラに隼人と蒼へと向かせた。
「駄目!駄目だよマミー!パピーの隣は僕らなんだから!」
「そうでさァ!、母ちゃんは駄目!!」
「知らないアルぅぅ!!」
神楽は沖田に抱きつき、その手を離さない。沖田は呆れた目を神楽に見せた。が、神楽がそのイタズラな瞳をキラキラと沖田に向けると思わず目を細め髪を撫でた。
蒼と隼人は、足をだんだんと踏み、駄目だと叫ぶ。隼人にいたっては半分泣きかけていた。
神楽は吹きそうになるのを我慢すると、布団の中からするりと出る。
そしてベットの上に座り、交互に蒼と隼人を見た。

「じゃあこうするアル。左に寝た方は、パピーとも一緒に寝れるし、なんとマミーの隣にも寝られるアルヨ!」
その言葉に、二人は口をあんぐり開けて驚いた。

何故だかわからないが、右にこだわって沖田の右隣でねるか、もしくは左で寝るけれども神楽の隣でも一緒に寝られるのを取るか…。
二人は考えた末、ジャンケンをする。そして勝った方が好きな方を選ぶ。そして負けたほうもそんなにダメージは無い。そして結果、隼人が勝ち、沖田の右側を取った。
程なく布団にもぐりこむ。少々蒼は悔しいらしく、口を尖らせる。
そして自分の左側に居る神楽にと抱きついた。

「ふーんだ。俺には母ちゃんが居るんでィ。」
「僕だって父ちゃんが居るからいいもーん。」
「何でィ。こっちは母ちゃんの乳触り放題だっつーんでィ。」
「… …っう、僕もそっちがイイ。」
にやりと笑う蒼。
「駄目でさァ。この乳は俺のもの〜〜。」
隼人はベットから起き上がり、更にベットの上にと立つ。にくたらしい笑い顔をした蒼は隼人の顔を見上げながら
神楽の胸へと顔を埋め抱き付く。隼人はあぁぁ〜〜!!とくしゃくしゃに顔を歪ませた。
そんな二人を見ていた神楽は思わずため息を付いた
「こんな手が早いトコまで似なくていいアル。」
「オイ、そりゃ俺の事を言ってんのかィ。」
沖田は目と目の間に皺をきざみながら、神楽を見る。

「他に誰の事を言えるネ!どう見てもお前の血アル。すけべで変態で、手が早くて…浮気者!」
「あぁ?そりゃお互い様っつっただろうが。」
沖田は体を起す。するとそれにつられた様に神楽も体を起した。
神楽に張り付いていた蒼はずるずると神楽の腰付近へと移動を余儀なくされた。
隼人は目をぱちくりと両親を見ている。先ほど潤ませて居た涙は引っ込んだらしい。

「このくそ女、やっぱ全然変わってねェ…。」
「フン。それはお互い様アル、クソドS…。」

睨み合う。それも束の間、どちらともなく噴出した。
そんな両親を不思議そうに双子は見上げる。
「やっばいアル。そう呼ばれたの5年ぶりアル!」
「確かにな。長い事そう呼ぶ奴が居なかったんで、えらく響きが新鮮に聞こえらァ!」
ベットの上。座って向き合いながら、くつくつと笑う。
なにやら理由は分からないが、とても楽しそうだと蒼と隼人も笑顔になる。
神楽は蒼を抱きしめ、膝に座らせた。そして蒼のおでこにちゅっと唇を落とす。蒼は触れた所を触ると、はにかんだように笑う。沖田は隼人を膝に座らせ、おでこにちゅっとキスを落とした。
隼人は満面の笑みを見せ、そして神楽と沖田の顔を交互に見た。

思わず神楽と沖田は視線を交す。隼人の視線の意味を理解したからだ。
少し照れた様に、神楽はその身を浮かせ、沖田の頬にちゅっと音を鳴らせた。
沖田は離れた神楽の顔にもう一度自身の身を浮かせ、その唇にちゅっと音を鳴らせた。
恥ずかしそうに頬を赤くする神楽の顔を見て、蒼と隼人はコレ以上ない程に笑顔を見せた。

大きなダブルベットの上。
先ほど取り合いをしていたのはなんだったのだと思うが、結局の所。
沖田と神楽を端と端に、蒼と隼人を包むように形を包む。
まもなく意識をトロンと手放した蒼と隼人に微笑む二人。

「やっば。可愛いアル。」
「あぁ、こんなに可愛いもんかと俺も正直驚いてるところだ。」
「マジでか。」
「大マジでィ。」
「ふふっ。嬉しいアル。」





「――――ところでだ。このベットが撓ったらこいつら起きると思うか?」
「はぁ?、当たり前アル。」
「しゃあねェな。」

「はっ?何起きて…ちょ…何するアルカ!」
「何って…。」
「何でベットから引きずり下ろされッ!!」
「オメーがベットの上じゃ嫌っつったからだろィ?」
「ひゃ…ち、がっ…」

「大丈夫でさァ、床の上でならどんだけ突いても起きねェよ。お前が声ださなきゃな…。」
「そんな問題じゃッ…ちょッ…総…っッ…。」

「馬鹿だろお前?大体想像つくとおもわねェか?夜とベットとホテルっつったら、やる事ァ一つだろィ?」
「―――ッ。総悟のばかぁぁ…!!」

……To Be Continued…

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