act 30

「ったく、何も投げるこたァねェだろうが…。」
「その割には避けたじゃないですかィ…。」
「そのおかげで俺の後頭部に風呂桶がヒットしたんだけどな!。」

湯船の中、並ぶ様に土方、銀時、沖田と並んでいる
沖田の投げた風呂桶は銀時方面へと飛んだが、それを銀時は寸での所で避ける、
しかしその後ろに丁度いた土方の後頭部へとクリーンヒットを決め、一度、ぶくぶくと土方は沈んだ。
直後近藤のトシィィィ?!と言う声が響き反響した。

そしてほとぼりの冷めた頃、新八は蒼と隼人をつれ、山崎と一緒に出て行った。
最初まだ遊ぶと二人はやけをきって居たが、外にジュースがあるから、それを飲もうと言う声につられ、目をキラキラとさせ歩いて出て行く。

その後を追うように近藤はのぼせたと言い、クラクラとさせながら出て行ったのだ。



「俺も、知らなかったんだよ。ほんの少し前まではな。」
突如切り出す銀時の言葉に、土方と沖田は初め、何だと顔をしかめた。しかしすぐにそれが何を意味する言葉なのかを理解すると、静かにその声に耳を傾けた。

「江戸を出て行く前の日、神楽が震えながら抱きついてきて、ゴメンネとだけ言いやがった。何の事だかさっぱりでとりあえず俺は笑ったんだ。頭を撫でながら、そしたらアイツ、泣くような女じゃねェのにボロボロ涙ながしやがった。ただ訳は最後まで言わなかった。胸騒ぎを抱えたまま朝を迎えたら、沖田君と同じ内容が置かれてたんだよ。何も…何も分からなかったのは、苦しかったのは、何もお前だけじゃねェってこった。」
銀時は、湯をすくい、顔にかけ、ぽたぽたと落ちる雫をそのままに天井を見上げた。

「それでもやっぱり、アンタのトコには連絡が来たんすね。」
銀時につられる様に沖田も天井を見るようにつぶやいた。
ちらりと銀時は沖田を見る。しかし沖田がその視線に答える事は無い

「あいつからじゃねェ、ハゲからの相談だった。聞いたときゃァ声も出なかったよ。ハゲの野郎が、神楽を地球に帰すと言い出したんだ。あいつにハゲがどういったのは知らねェ。それでもアイツは帰って来た。この江戸にな…。」
土方は大きな息を吐く。そして銀時の方をみながら口を開いた
「そりゃ本当に最近だったのか?。」
「あぁ、ほんの一週間満たない程前だよ。直ぐにでも沖田君にとも思ったンだけどねェ。やっぱ首を突っ込むもんじゃねェだろう?」
銀時のその視線に、沖田は応える。
しかし口を開くことなく、微か笑った。その笑みは酷く悲しげなモノであった。
どこか宙を見るその目を追いかけるように、同じく宙を見る。

神楽が地球へ帰ってくるからと言って、江戸に留まるか、更にいえば沖田の所に戻るのか、父親の星海坊主と神楽がどのような話の末、そして神楽がどんな思いを乗せ帰って来た真意は銀時にさえ分からなかった。
だから帰って来た時も不安だったのだ。

沖田は、その視線を伏せ、俯き、そしてゆっくり貌をあげる。
「でも、まぁ、帰って来てくれたんで…もぅ、何も言いやせんよ。あいつにも…。」
「…だな。」

そういうと、銀時は微笑んだ。それにつられ、土方、沖田も静かに微笑んだ…。

……To Be Continued…

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