act 26

「とりあえず、お前ら切腹しろ…」
沖田の部屋で正座をしている神楽と沖田に、仁王立ちをしている土方が低くつぶやいた
庭では、ミツバと隼人、蒼が談笑している。
ふと神楽はそちらへ目をやるとミツバと目があってしまい、
慌てふためきその視線を伏せた。そんな神楽をミツバは見て、ふふっと柔らかく笑った
そんな神楽の態度とはうらはらに、沖田は面倒くさそうに頭を掻き息をはく。

「なんでェ、別に自然な成り行きじゃねェか、喧嘩した後はヤれば仲直りって出来るって相場が決まってン――。」
最後まで言う事なく横っ面を神楽にしばかれた。
そして神楽は再び正座をする。沖田とは違い一応神楽は自分の行動を恥じ、反省しているようだった。
しかもよりに寄って、沖田の姉、ミツバにも知られてしまったと言う事でその表情はもはや泣きそうな程だ。

ミツバは蒼と隼人にボールを渡すと側に寄ってきた。
思わず神楽は慌てる。
「もぅいいじゃないの十四朗さん、別におかしい事じゃないわ。」
「もっと言ってくだせェ、この頭のかてェ奴には、無駄かもしれねェですがね。」
「総悟ォォ!!テメッ!ぜんっぜん反省してねェな!」
土方は目を三角に吊り上げ、沖田に突っかかる。そんな土方を沖田は鼻で笑う

そうこうしてると庭に居た蒼と隼人が神楽の両膝を独占するように寝転んだ
「マミー、眠たくなっちゃった。」
「俺も…ちょっくら寝やすぜィ。…勝手に連れて帰らねェでくれよ母ちゃん」

神楽はコクンと頷く。
あっと言う間にすやすやと寝息を立てる隼人と蒼を見て、騒いでいた土方と沖田も大人しくなり、神楽の横にミツバが座った。
「お、お久し振りアル、元気にしてましたカ?」
額を掻きながら、まだ恥ずかしそうにミツバをチラリと見ながら言った。
「久し振りね、五年ぶりだもの、神楽ちゃん、本当に綺麗になって、びっくりしちゃったわ。」
「み、ミツバ姉こそ…相変わらず綺麗アル、トッシーには勿体ないアル。」
横やりで、土方が突っ込んだがそれを神楽は華麗に無視し、ミツバを見て、はにかんだ。
「体は大丈夫アルか?無理してないアルカ?」
「えぇ。大丈夫。無理すると十四朗さんに怒られちゃうのよ。」
ミツバが柔らかく笑うと神楽もつられて笑う。
「蒼ちゃんと隼人ちゃんって言うのね。なんだか総ちゃんと同じで呼び方に困っちゃってね。」
「本当アル!この際総悟はお前とかでイイアル。格下げネ。」
横やりで今度は沖田が突っ込んだが、再び神楽は華麗に無視をする

「本当にびっくりしたのよ。だって来てみたら総ちゃんにそっくりな可愛い双子の男の子が居るんですもの、でも蒼ちゃんも隼人ちゃんも、私の顔をみたら、パピーに似てる、父ちゃんに似てるって離れなくて、十四朗さんに聞いて心臓が止まるかと思ったわ。」
「危ないアル。ミツバ姉の心臓が止まったら私おお泣きアルヨ!」
「ふふ、ありがとう。でも本当に体調がいいのよ。蒼ちゃんと隼人ちゃんに逢えて、もっと元気がでたわ。ありがとう、神楽ちゃん」

「ミツバ姉ェェ…。」
神楽は蒼と隼人をそのままに、ミツバに抱きついた。
あらあらとミツバは神楽の頭を撫でる。ミツバは沖田と付き合って居た時から非常に神楽を可愛がってくれ、沖田との別れを決意し、一人で居る間も、何度体が心配でこっそり帰ろうかと思った。
何度先にミツバに相談をするべきだったかと後悔した。
そのミツバが今元気に目の前で笑っている。

純粋に神楽は嬉しかった。泣けてくる程嬉しかった。
抱きつき、その暖かさに触れる事でしっかりとミツバは生きており、ココに居る、そう考えただけで涙が溢れた。
母親と言えど、神楽はまだまだ若い。

ココに来て、やっと安心出来る、気を緩める場所が帰って来たと泣いた。
箍(たが)が緩んだように涙は止まらなかった。
土方と沖田はそんな神楽を見る目が、いつの間にか優しくなっている事に気付き、ミツバと視線を交した
わんわんと声を出し、何度もミツバの名前を呼びながら泣く
その頭を何度も何度も撫でた。背中をさすり、時折、子供をなだめるようにポンポンと落ち着かせるように叩く。
拭ってな流し、拭っては流し、神楽はミツバのその声から、その指の体温から、その呼吸から、深い愛情を注がれ、その喜びに体をただただ震わせ、嗚咽を出した。


……To Be Continued…

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