act 23

「次浮気したら許さないアル。」
泣きべそもソコソコ、口を尖らしながら、目を腫らした顔でいじけた様に神楽は言った
「絶対しねェよ。テメーこそ、本当に浮気なんざしてねェだろうな」
その沖田の質問に、神楽は少々考える様に宙を見ながら
「してないアル」
そう答えた。が、しかしその少々の間を沖田が見逃すはずもなく…。

「オイ。何でィ、今の間。」
「ぅあ?べ、別に…」
「別にっつー面じゃねェだろうが。」
「お、お前みたくエッチなんてしてないアル。」
「なんて…だと。オイ。じゃあ何はあったんでィ。」
先ほどの優しく包み込んでくれた態度とは一変…兔の様にちぢこまる神楽をじりじりと追い詰める
その声は低く、恐い。
「蒼の話しじゃテメーはどんな男にも靡かないいい女っつー設定だったはずだが?あばずれだって事か?」

「あば?!子供が寝静まってからちょっと遊んでただけアル!お前みたいに体の付き合いはなかったアル!ちょ、ちょっとご飯食べたり…。」
「食べたり…その続きをさっさといわねェとぶち殺すぞクソ女」
「んな!?よくそんな台詞が言えたもんアルナ!私のキスとお前のエッチとじゃ天と地程の差が!はわっ!!」

よもや口を滑らした。そんな貌で神楽は両手で口を覆った。
友達として遊んだりしてきた。ただそれは異性だったと言う事だ。
神楽にとって其処には全くの恋愛感情は成り立たず、いつもココロの中を占めてるのは憎きこの目の前の男だけ。しかしその他の男からすれば、なんとかモノにしたいと思う程の神楽は女であり、なかば強引に口を奪われた事もあった。

もちろんその後は徹底的にぶちのめすのは必須なのだが、沖田以外の男に免疫がさほど無かった事が仇となり
戦闘中はその勘はするどく研ぎ澄まされたが、
男からすれば、…『激しく恋愛』の対象と見ている女はあまりにも無防備だったのだ。
神楽は友と接する。が、男と言うモノをまだ理解してない所もあり、頭に馬鹿が付くほど簡単にその唇は奪われた。
そんな自分が恥ずかしく、子供には居えず、ただ絶世の美女と言われていたのは確かだったので、その話と子供の話しのみが上手くくっ付いたのだ。

簡単に奪われる自身の唇にいよいよ危機感を覚え、かといって戦闘でもないのに神経を研ぎ澄ますのは非常に疲れた。其処を男は巧みに狙ってくる。
時にはほっぺにちゅっと、時には唇に帰り際ちゅっと、時には男の愛を込めた懇親の一撃が舌と共にねじ込まれる。
ホッペと、軽く口にする挨拶代わりのキスは、長い年月の中どうーでも良くなり、神楽の『浮気』の定義からいつしか離れてしまっていた。
ただ時に男が抑えきれなくなった身を焦がすほどの口付け…これについては、やはりまずい…今更ながらそう思えたのだ。
なぜならば、沖田から突拍子もなく浮気をしてないのかと言う質問を聞かれるまで、この微妙なキスについて深く考える事がもはや、日常化しており、無かったからと言えたからだ。

「キス…だと…」
沖田の目は完全に据わった。先程よりさらに低く、太い。
神楽は、コレはまずい。しかしよもや女を抱きまくったこの男に果たして自分を責める事が許されるのか?
そう思うと、逆にイライラとしてきたのは言うまでも無い
「お前より全然マシアル!てかお前に責める権利なんて―――痛ァァ!!ちょ、離すネ!総悟ッ!」

沖田は神楽の言葉を全く無視するとその腕を跡が付くほどギリっと掴む。
そしてずるずるとひきずる様に足を出した


……To Be Continued…

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