act 22

露草色の中、駆ける。ふわりふわり体は浮きながら、いくつもの屋根を舞う。
アチラ、コチラ、ヒラヒラ舞うように飛んでは足を付き、上から探す
すると、一目で分かる、黒に包まれた隊服が見えた。
一瞬立ち止まる。下に降りる勇気をあたしに下さい。神様…。
すぅ…息を吸い込み、音も無く、その男の前にふわりと舞い降りた。

どんな貌すればいいのか分からなくて、少し笑って、何か違う…目を伏せた
そしたら、両手で、一気に引き寄せられた。
思わず顔面隊服にぶつけて、変形するかと思った
格好悪い声が出なくて、ちょっとホッとした。

ホラ、ちゃんと言わなきゃダメヨ。
「総悟、ゴメンネ。」
あっ。言えたヨ、簡単に…。私やっぱり成長してるアル…。

「いや…俺の方こそ悪かった。本当は、あんな事思ってなかった。無駄にお前を傷つけちまったな。」
あぁ。こいつも成長してるアル。ちゃんと謝ってくれた。
それだけで、じゅ〜ぶんヨ。じゅ〜ぶんアル。

「もう、いいアル。私が悪かったネ。私が総悟と別れたから…。大丈夫アル」

「… …お前、本当にもういいのか?本当は許せねェんじゃないのか?」
「う、ううん。何でそんな事聞くアルカ? 私――――。」
「お前、無理してんだろィ?俺に罪悪感、感じて…そんなんじゃ、いつか疲れちまわァ…。」

苦い貌して総悟は笑った。
何で?あたし無理してないヨ?。ねェ。ただお前と一緒に居たいだけ。今までの分、コレから―――。

何でそんな貌するの?何で、何で… …。
そんな貌…。いや、いや、いやアル!!

「別れない!別れたくないアル!」

気付いたら、泣いてた。あれだけ誓ったのに、あたし、顔くちゃくちゃにして泣いてた。
あたしの言葉に、総悟の胸板押して、まるで訴えるように叫ぶあたしに…、

「へ…?てか別れ…ねェけど。 …何でそこに話が飛ぶんだ。」
「ッ…だ、だって…疲れるって!無理ってェェ!ふぇェ…エッッ…ヒック…」

沖田はふっと笑うと、ぐちゃぐちゃの神楽の貌を袖で拭く
そんな沖田の優しさに神楽は又もや泣き出し、沖田はたまらなそうに笑い、その体をゆっくりと抱き締めた。
「別れるわけねェだろが。無理しねェで、思ってる事を、わがままを、お前と言うモノを吐き出せっつーこった。」
その体に絡まる腕を、一層強くした。
「っふっ…い、いいアルカ?嫌いにならないアルカ?」

可愛い奴…。そう沖田は言うと神楽の髪をぐしゃぐしゃとする。すると空気に舞う髪から神楽の香が舞った。

なれっつっても、なるかよ…沖田はそう顔をほころばせる。
嬉しい、でも何かやっぱり沖田には適わない歯がゆさで、神楽は下唇を噛み、泣いてる貌もそこそこ、口を尖らせた。

……To Be Continued…

作品TOPに戻る






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -