act その後 1

んじゃ、遠慮なく…………。


唐突に落ちてきた、沖田からの温度は、一ヶ月たった今でも、まだなお、神楽の唇へ、感触を残していて――――。
考えたくないのに、考えちゃって、気がついたら、あの時の公園に来ている自分がいた。







「本当に……あいつが好きって、言ってくれたアルか……」

鼓膜へと、残っているのは、確かに沖田総悟からの告白。
それは確かな事なのに、まだ、神楽の中では、信じきれずにいた。

自分より、高い目線から、唇に、触れるために落とされた角度。それは近くて、恥ずかしくて。
でも、触れられた時、とてもあったかい感触に包まれた。
抱きしめられている腕が、本当にあいつのものなのかって、思わずにはいられなかったけれど、それは確かにあいつのもので。

でも……。

「あれから、全然会ってないアル……」

告白し、告白されたのは、確かなはずなのに、沖田とは、あの日を最後、会ってない。

「もしかして、避けられてるアルか?」
確かに、思いは通じ合ったはずなのだ。
だからこそ、触れてくる唇が愛おしかった。

喧嘩している時とは違う、全然違う、二人の想いが、確かに通じ合った瞬間だった。

すき……。

その思いは、今も変わらない。
それどころか、どんどんと強くなっていく。
触れられて、抱きしめられた、あの瞬間から、思いは溢れて止まらない。

自分が、こんな風になるなんて、思いもしなかった。
片思いだった頃より、両思いになれたあの時から、沖田を、好きだと思う気持ちが抑えられない。

逢いたくて、何度、屯所に行ったか分からない。
でも、どうしても、呼び出すことができなかった。

「もしかして……」
もう飽きられてしまったのだろうか?

それとも、違う女に、のりかえられてしまったのだろうか?

考えたくないけれど、あいつならば考えられる。
なんせ、自分が惚れたほどの男なのだ。
剣の腕は一級品、成長した面影は、思わず見惚れてしまいそうになってしまう。
口の悪い毒舌さも、たまに出る、甘さの事を考えれば……。

「あぁ、もうっ!」

なんで、こんなにも……。
くやしいけれど、沖田の事で頭がいっぱいで、パンクしそう。
「やっぱり、あんな奴……好きになるんじゃなかったアル」

言ってはみるけれど、この想いが止められない事は、神楽本人が一番よくわかっている。
だからこそ、腹ただしいのだ。

初めて会ったあの頃より、自分の身長が伸びたように、彼もまた、高くなった。
キスをされた、あの時、意外に二人の身長が、しっくりいく事に気づいて、嬉しかった。
毒舌ばかり吐いていた彼が、確かに、好きだと言ってくれたのに……。





「おい」

おいって、何アル、おいって、今、私は忙しいアル。

「おい」

だから、おいって…………っ。

「なっ!、ななななな何アルかっ! って言うかおまっ……」

最後まで、言わんとする神楽の口を塞いだのは、今の今まで、頭の中すべてを占めていた、にっくき男。

「おまえって、言うなっつってんだろィ」

沖田 総悟だった。





・・・・To Be Continued・・・・・



 



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