act 21
「いや〜。あいつ等も大人になったモンだ。なぁトシ。公園を破壊せずにすんだぞ。」
「近藤さん、どう見てもありゃァ修羅場突入だろうが。下手すりゃもっと性質が悪いぜ、こらァ」
空笑いの近藤と、土方は、パトカーの中から一部始終を見ていた。
神楽が出て行った直後、沖田は一瞬駆け出そうとし、数歩歩いたところで立ち止まり、何かを考えたように再び神楽を追って走り出した。
子供たちは相変わらずパトカーに夢中だ。そんな子供達を山崎は目が回る思いでひたすら見ていた。
時折高く鳴るクラクションの音を土方はスルーし、思わず額を覆った。
......
自分でも理不尽な事を言ってるなんて分かってる。
総悟の、「お前が先に捨てたんだろ?」の台詞が胸に刺さった。
図星だからこそ、ムキになった。
身勝手に帰ってきて、何を言ってるのかなんて、私が一番知りたい。
泣くなんて、おかど違いヨ。
ちょっと、ちょっとダケ頭冷やす時間を私に頂戴。そしたら素直に、頑張ってゴメンナサイって言うから。
細い路地越えて、塀伝って、屋根の上に登って、尻をつけ座って、そんで寝そべった。
空を見上げてみれば、綺麗な露草色が視界を占めた。
ドッドッドッドって心臓が早く音を刻む。走る事を止めた体から一気に汗が噴く。
…後で、ちゃんと謝る。自分で言ってることがおかしいって分かってるから。
ただちょっと、ちょっと、ねェちょっとダケなら、泣いていい?
出来れば自分をずっと忘れて欲しくなかったって、出来ればあたしの体の感触だけを覚えて欲しかったって
我侭思ったっていいデショ?総悟には、もぅ言わないから。総悟の前では泣かないから…
だからちょっとダケ、怒っていい?後でちゃんと…謝るから…。
「…っ…ふぇぇ…ぇ…ッ。総悟のばかぁぁぁッ―――――。」
何で他の女を抱けるの?
どうして…。感触や、温度や、声、爪、皮膚、まつげ、口、鼻、呼吸…あたしは全部覚えてるのに…。
他の男でそれを重ねるなんて事、思った事なかったヨ?
分かってるヨ。分かってるから、、総悟の言ってる事が正しいからムカつくノ。
反論できないの分かって言うから腹が立つノヨ。
さっき、確かに伝わったと思った好き、や、愛してるが、今零れてる。
体が受け止め切れなくて、絶対落ちてる。総悟の体から零れてる。
総悟の髪も、口も鼻もまつげも、声も、体も、吸った息の名残も、吐いた息の温かみも、あたしだけが知ってたかった。
あたしだけのモノで居てほしかった。
何度も捕われた感情の渦の中でも、きっと総悟はあたしの事待ってくれてるなんて思ってた。
でも、何もかも私が悪い…。
総悟の言った通り、総悟が正しい。
泣いたから、怒ったから、ちゃんと成長したトコ見せなきゃいけない。
ちゃんと笑って、ゴメンナサイを…。
言えるよネ…あたし…。
……To Be Continued…
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