「ホラ、アイスが…」

泣き虫と化した蒼をあやすために、山崎は、近くの店で、アイスクリームを買ってきた
ぐしぐしと目をこすりながらアイスを受け取る。
ぺろぺろと控えめに舐めていたが、以外にも早くその機嫌は回復する。そしてアイスを食べることにいっぱいいっぱいになり、口も手もドロドロになったトコを無意識に沖田は手ぬぐいで拭ってやった。

たったそれだけの仕草。だがそんな些細な小さな仕草でも、生まれて初めて父親に拭ってもらった嬉しさを隠しきれずに、蒼は少し顔を緩めた。するとその行動を、いいなァと隼人が言う。
蒼とは違い、その食べ方は綺麗で汚れた所は無かった。
それでも、沖田はその口を拭ってやった。すると素直な隼人は、大変喜んだ。

そんな様子を皆で微笑んだ。

「いや、チャイナさん、本当に変わりましたね。綺麗になりました。」
山崎が意図も簡単に、いきなり口にした。

「私を誰だと思ってるネ。女王様アル」
微笑んだ神楽だが、その微笑さえ本当に魅了された。

「マミー。パピーと一緒に住めるの?今日一緒に寝られるの?一緒にお風呂に入れるの?」
早口に隼人が言う

「う〜ん。少しの間は銀ちゃん家に行くアル。」
「やだやだ!パピーと一緒がいい!」
「でもそんな事言ったって…」

「どうだろうか、屯所にでも二人を預かってもいいんじゃないか?」
近藤が口を開く
すると隼人は笑顔で頷く。神楽は蒼を覗き込む。すると何とか平常心を保っていたいと願っているが、やはり嬉しいらしく、神楽の視線に気が付くと

「し、しょうがねェから行ってやらァ、と、父ちゃんがどうしてもって言うならな!!」
とちらりと沖田を見る。すると、沖田は最後のアイスを口にモグモグとする。

すると、蒼はがん見に切り替える。しかし沖田はまだモグモグとアイスを食べ終わらない。
すると土方が、後ろから沖田の頭をそくった。
少々むせながら、沖田は蒼の顔をみれば、すでに不安を通り過ぎ、泣きそうになってるではないか。
思わずアイスを飲み込んだ直後沖田は吹いた。

「どうしても!どうしても一緒に居てェや」

すると、蒼の顔はたちまち緩む。が、すぐに照れ隠しの蒼が発動し、ぶっちょう面で、
「仕方ねェから行ってやらァ。しょうがねェぜ、父ちゃんは!」
と答える。これには声を上げて皆で笑う。

すると、蒼は、照れ隠しに、話を切り替えた

「か、母ちゃんは、俺の自慢なんでィ。母ちゃんは宇宙一の美女って色んな所でいわれたんでィ。
色んな男からでーとの誘いを受けても、まったく相手にしなかったんでさぁ。カッコイイんでェ」

ふふんと自慢する蒼の言葉に、沖田を含め皆納得した。
アイスを食べてる姿さえ、どうにも色っぽく、しかしその目はイタズラで男心の核心を簡単に揺さぶる
ただ座ってる体からは、なんとも言えない髪の香が鼻腔を刺激し、その柔らかな体は傷一つ付いてなく、真っ白で透明で美しかった。

風が吹くたびに靡く短い髪は、ふわりと浮かび、すぐに柔らかくもとの形状へと戻っていく。
時折見え隠れするその首筋や項は、本当にアノ神楽かと思わせる程であり、よく女は変わると言うが、
こんなにも変わった女は今だ嘗て見た事がないと、そこに居る皆は思った。

そんな事を考えてる男に、蒼が続ける

「でも、じいじが、男はうわきをする生き物だから、きっと父ちゃんは、うわきをしてるって言ってた。」
これには盛大に皆むせた。

中でも沖田の慌てぶりは、想像してなかった言葉だけに凄かった。
初めの一年程、とっかえひっかえ遊び、抱きまくったのは、もはや周知の事実だったからだ。

「ねェ、ゴリ、うわきってなんでィ」
近藤は目を泳がしながら、そして声を裏返しながら口を開いた
「さぁ…?なんだろうねェ。」

そして、その慌てぶりに気付かないほど鈍感な神楽ではなく…

「うわき…したアルカ?」
するどい神楽の眼光が沖田に突き刺さる

「浮気っつーか、お前が俺を…」
「したかしてないか、ヤったかヤってないかどっちアル!」
思わず立ち上がった神楽に冷や汗を掻きながら、とりあえず近藤、土方、山崎は子供を非難させた。
下手すりゃ子供巻き込んでの大乱闘。今度こそこの公園は破壊される。一目散にパトカーの中にへと非難する。するとパトカーに初めて乗る蒼と隼人は大はしゃぎ。

あちらこちらとボタンを押し、運転席に乗り込み、ハンドルを握り大興奮。そんな子供を、必死に山崎は見る。
近藤と土方は、そのパトカーの中から二人の様子を伺った。

「いいか、トシ。乱闘が始まったら子供の命が優先だ。速攻で逃げるぞ」
「近藤さん、あんた自分の命がおしいだけだろうが…っとに。だがきっちり清算させといた方が後で楽だからな。気張れや総悟…」

そう土方はつぶやいた

......
シンとした空気。
立ち上がり、向かい合う二人に、ぴりぴりとしたモノが纏わり付く。

「何人?どれだけ?どんな感じで?すぐに教えるアル!」
「てか待て待て。ちょいとそりゃあ勝手っつーもんじゃネェか?俺を先にに捨てたのはテメーだろうが」
「そんなの関係ないアル。早く教えるヨロシ」
「関係なくねェだろィ。おれは完全に終わったと思ってたんでィ。他の女をと思って何が悪い。普通は考えるだろうが。」

神楽の横暴な態度に沖田は少々イラっと来て口にする。
実際終わらせたくなかったし、他の女を捜すというよりは他の女で忘れたかったが正しい。が、そこはあえて言わずに居た。

「お前…私の事すぐに忘れたアルカ?お前の思い、そんなモンだったネ」
「いや、論点がずれてらァ、まずお前が俺を捨てたんだろうが。其処を攻められてもどうしようもねェ。じゃ何か?もしお前がココに帰ってくる事がなかったとして、俺は俺を捨てた女のために一生他の女も抱かず独り身で居ろっつー事かィ。そりゃ、違うくねェか?どっちの言ってる事が正しいか、その頭でよく考えてモノを言いやがれ。あと、その言い方を少しは改め…」

最後まで言う事が出来ないまま言葉は終わる

「そ、そんな言い方…わ、私は、どんなに一人でも、どんなに寂しくてもずっとお前を思って来たアル。体を重ねたのも、5年前のお前とだけアル。わ、私も悪かったとは思うネ。でも、そんな言い方って……。」

コレはまずい…思った瞬間には神楽は自分に背を向けながら走って行った。
その手は恐らく頬に流れた涙を拭ったのだろう。その直後に振った手からはキラキラと涙がいくつも飛び散っていた…。

……To Be Continued…

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