神楽は三人の姿を確認すると、すくっと立つ
ただ、立った。それだけだが、凛と立つその姿がとても美しかった。
そして、沖田と視線を交す…。微笑んだが、その瞳はひどく悲しそうだった。

土方は、項(うなじ)を掻いた。そんな土方を近藤はちらりと見ると、微かに笑った。
何を考えているのかが手に取るように分かったため。

双方の間が、1mになったトコで、神楽が口を開く、しかしその言葉が出てくるより早く隼人が沖田に走り、足元に抱きついた。
「パピー!間違いないよ!。パピーだ!だって、だって写真と同じ顔!写真よりずっと格好よくなってる。僕のパピー!」
沖田を見上げるその宝石の様な瞳はキラキラと輝いており、満面の笑みだった
抱き上げていいものか…そう思う感情を乗せて神楽の方を見た。また神楽は微かに笑い、頷いた。

抱き上げたその体はふわりと軽く、簡単に自分にへと吸い付いた。回されている小さな腕がどうしようもなく温かく、愛しかった。
自分を強く抱き締めるその体を、沖田は負け時と強く抱き締めた。
「とっても、とっても会いたかったんだよ。すっとずっと…やっと会えた!僕のパピー!」
力を加えてある腕を更にぎゅっと抱き締めた。沖田はそのサラサラの自分と同じ髪を優しく撫でた
ただ、何を言っていいのかが分からない。ほんの少し前まで存在さえ知らなかった。あまりにも知らなかったとは言え、口に出来る言葉ではなかった。
そんな沖田を土方は見て、ぽりぽりと額を掻いた。

そんな中、神楽が口を開く
「ほら、蒼もいくアル。パピーヨ。」
蒼の背中を押すが、一歩、二歩いったトコロで立ち止まる。
そして、ぶっすぅとした表情をしながら口を開いた

「な…にが、父ちゃんでィ。今まで母ちゃんをほっといたクセに…今更父ちゃんずらなんかすんじゃねェや…」
その言葉に沖田は目を見開いた。そして神楽を見たのと同時で神楽が口を開いた
「蒼、違うアルヨ!何回も言ったアル!マミーがね、、、、」
膝を付き、蒼の真正面から両肩を掴んだ。しかし神楽の言葉を再び遮る
「嘘つき!母ちゃんは嘘を言ってんでィ!だったら!、だったら何で毎日毎日泣くんでィ!」
その言葉で辺りの雰囲気が凍りついた。

もぅ何がなにやら分からないと、沖田と土方と近藤は顔を見合わせた。
何故、自分から去ったのにも関わらず…。

そして神楽の背に視線を向けて見れば、その背中が微かに震えているのに気付く。蒼はぶっきらぼうな表情から、顔をくしゃりとくずし、神楽を抱き締めた
「母ちゃんごめん!泣かないで!俺が絶対守ってみせ…」
途中まで出していた言葉を引っ込めた。自分がしっかと抱いているその手に大きく無骨な手が重なったから…。

沖田は酷く乾いた喉から、必死に振り絞る様に口を開いた
おかげで、少し声がかすれた様に変化した。

「訳…聞かせちゃくれねェか…神楽…」
ひくりと背中を震わせ、その動きはピタリと止んだ

……To Be Continued…







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