沖田は刃をブンと振った。そしてもう一度構えた。
男は眉間に深くしわをつくった。
酷く怪訝そうに沖田を見る。そして構え………動いた。

神楽は総悟にだけ視線を向け、その動きを目を凝らして見た
その目に映る沖田の動きは、まるでスローモーションの様に綺麗だった
男が剣を沖田の懐に差し込んだ時には既に居なく、気が付いたときには
自分のうなじに切っ先が立てられていた。

男の額にはひやりと汗が滲む。
「オメー凄げェやつだな…完敗…だな俺の」
そう言うと男は項垂れる。
沖田は意味しげに鼻で笑うと、走りこむように来た近藤達に視線を上げた
その中には神楽も入っている。隼人と蒼は、木の物影にへ隠れている様だった

沖田は近藤と土方と視線を交わし、近藤は頷いたのち、手錠を出す。
そして沖田は神楽にへと視線を移した。
神楽は不安そうな表情を、そして今にも泣き出しそうな表情で沖田を見る
その表情を沖田は見ると、切ないような貌で、笑った

神楽はゆっくりと沖田に近づき、手を伸ばそうとした


その時だった―――――

その腕を、何かがかすり、気が付くと神楽の細く白い腕から赤い鮮血が滴っていた
エ…?
神楽が思った時には遅く、後ろには先程の男が立っていた。
瞳孔が開いたのはそれぞれ。神楽を前に、気が抜けた沖田が命取りだった。
手錠をさせる一瞬の隙を付き、男は動く。神楽の右手をスパッと切り、その上で神楽を後ろに付いたのだった。

ドクリと神楽の心臓は音を立てた。
手を覆うが,その庇うように当てられた手からは鮮血が漏れる。
男は、沖田に視線を合わす。間も無く沖田の朱色に影が落ちていくのが分かった
沖田は口を開く
「その女を放せ…」
男はニタリと笑い、神楽の喉もとに刃を突きつけたまま、首筋に噛み付いた
神楽の顔が、痛みと気持ち悪さで苦痛に歪む。

土方、近藤はぎりぎりと歯をかみ締めた
男の周りを、禍々しい感情のオーラが覆うが、男はそれを楽しんでいるようだった
その時、不意に神楽が口を開いた

「お前みたいな奴に感じる程、私の体は安くないアル」
その場にいる全員、目を見開く
男はぷつりと喉に刃を食い込ませた。しかし神楽は動じる事なく口を開く
「私が切られ様がナンだろうが、その後きっとお前は沖田にやられてしまうアル。その時がお前の終わりネ」

「神楽しゃべんじゃねェ!」
思わず沖田は叫ぶ。が、神楽は全く怯まない

「私を人質に取ったのは誤算アル。私は何も恐くない。目の前にアイツが居てくれるだけで、もぅ何も恐くないし痛くないのヨ」
神楽は、艶っぽく笑う
近藤、土方も外野から話すナ!と言うが全く神楽には聞こえてない
「ナンなら無防備な背中をやってみるアル?きっと振り上げた瞬間沖田が踏み込んでくるアルヨ」
得意そうに鼻で笑う神楽の言葉に、男は貌を歪ませた


……To Be Continued…







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