「そ、総…」
蒼を抱き、思わず沖田に声をかけようとするが、その途中で土方が口を覆うように止めた
神楽は土方をちらりと見る。すると土方は、話しかけるなとでも言う様にゆっくりと首を振った
そのまま蒼を抱いたまま後ろへとゆっくり神楽は下がる。
沖田はただ、切っ先を互いに向けたまま微動だにしない。

土方、近藤も遅れて後ろに下がる。
神楽の脈はドクドクと沸く。宇宙で散々戦ってきた自分が、経験値を高めていた自分が、一歩も動けなかった
天人である隼族である男に、人間の沖田ナンかが勝てるはずがない…。
せっかく会えたのに…。偶然の出来事ではあったが、確かに巡り合える事が出来た。
なのにもしかすると…もしかすると…沖田は…。

不安がよぎってどうしようもない。この目の前の男をどうしようもなく失いたくない。
かといって、自分がしゃしゃり出れば間違いなく足でまといになるのは目に見えている。
貌を歪めている神楽の肩に近藤が手をやった。
不安な面持ちで近藤を見上げると近藤は口を開く。

「こんな事言うのもアレだがな、アンタと別れて総悟の奴ァ剣に没頭した。初めは不安定だったが、吹っ切れたように、いや、実際のトコは吹っ切れてなかっただろうが、少なくとも表面から見える部分では変わったと思う。あれから総悟は何倍も成長したんだ。元々剣の才があった奴だったが…俺ァあー言うのを…神の域だと言うと思うんだがな。」

神楽は蒼い双眼を見開いた直後、今にも泣きそうな面をした。
その神楽を見た近藤は、アンタを責めてるんじゃないんだ…そう付け加えた。

ちらりと土方の方を見てみれば、その目も近藤と同じ様に物語っていた。
神楽は再び、離れた場所から沖田に視線を移した。

そして、動く――――

先に動いたのは、男の方だった。
目にも止まらぬ速さ、実際、神楽を始め誰にも見えなかった。
キィィンと言う音と共に、気付いた時には、男は元の位置に戻っていた。
何が起こったのか分からない。そして再び男が動く。聞こえるのは重なる甲高い音のみ…
全く見ることの出来ない神楽。そしてそれは自分だけかと双方に視線をずらすが、それは近藤、土方も同じらしかった。

目を凝らす。
男が飛び跳ねるように、四方八方から沖田に仕掛ける
そこまでは何とか分かる。だがそれと同時に沖田の動きを把握するのは難しかった
もう一度目を凝らすと、沖田の刃が見える。
見てるだけでは、ただ受けてるのみ、防戦してるだけに見える。
やはり一人では…
そう神楽が考えた瞬間、沖田の刃が男の刃を押し返した

そして、何年かぶりに見る、あのサド笑いで口を開いた

「もぅいいでさぁ。遊びは終わりにしますぜィ」


……To Be Continued…







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