蒼を担いだまま、男は口元をあげ笑った
「末恐ろしいガキだな…オマエが変わりに人質になるっつった瞬間、殺意が更に跳ね上がりやがった。大したもんだ」

その殺気は、十二分に沖田や土方達にも伝わっていた。
蒼を纏う赤い禍々(まがまが)しいオーラが、男の周りを包む
神楽は、あの頃より強くなった。幾千のエイリアンと対峙(たいじ)するたび、スキルはどんどんと付く。
しかし神楽は一人の時より弱くなった。守るものが出来たため…。自分の身を挺(てい)して子供を守ろうとするため。
どうしても隙が出来た。自分ひとりで好き勝手に動き回ることが出来なくなってしまった
視点がどうしても子供にへと行く。ただそれは仕方のない事で…。だからこそ、宇宙から身を引く事を選んだ。
そしてそれを星海坊主も望んだ。

自分一人なら、無茶も聞く。だが子供を目の前に、ただの一歩も動く事が出来ない
言葉を口にするだけでも命がけだ。ただそれが母親と言う事を、この5年間で学んだ

自分が人質になれば…後はどうにでもなる…。そう考えた。――――が…。

「お前、夜兔族だろ?人質には向かねェな。」
その男の一言により、全員目を大きく開いた
「何で知ってるアルカ…」
瞬間神楽は目を鋭くした。喉にくっ付いている切っ先がプツッっと音を立て、血が滲み出るが、神楽は表情を変えない
「俺ァ、隼族でね、傘を使った夜兔族つったら有名なんだよ」
目を細く、にやりと笑う
苦みばしった表情をした神楽を見ながら、男は言葉を続けた

「まぁ…しかし稀にみるべっぴんだよなァ。確かにこりゃたまんねェよ」
男は下から舐めるように神楽の肢体に視線を沿わす。そしてそれと一緒に切っ先も動かした
足首をツツツ…と這わし、太股を切っ先で沿わす。その太股からチャイナ服の中に切っ先を滑らした

刹那、男がその動きをピタリと止めた。その自分を止めるオーラの先を確認する。
そこには蒼とは次元が違う程に禍々しく黒い殺気が、その翳った瞳から中心に吐き出されていた
コレには思わず神楽も冷や汗を掻き、首筋に伝わせた。

ほぅ…。男は沖田を真正面に見る。コイツァ中々の男だ…。
一瞬神楽が動こうとしたが、その切っ先を蒼の腹に突きつけられ、動けなくなってしまった
地を這う低い声で沖田が口を開く

「その子を離しやがれ…。」
神楽は不安げに沖田を見るが、沖田の表情は変わらない。
男は、鼻で笑い、蒼から切っ先を離し、振り上げた。
身構えた沖田だったが、その切っ先は、神楽に向けて振り下ろされたのだった。

……To Be Continued…







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