真ん中で、土方は額に手をやっている
何もこの状況で鉢合わせにならなくてもいいんじゃないかと…

「か…神楽…」
「そ…総悟…」

丁度ピタリと重なった声
沖田の緋色の瞳は開かれる。そしてそれは神楽の瞳も同じだった
あの頃、お団子頭だった撫子色(なでしこいろ)の髪は、肩までバッさりと切られており、
風が吹くたびにサラサラと舞うその髪を邪魔そうに耳にかける。

すると左耳に、緋色のルビーのピアスと、藍色のラピスラズリのピアスが並んでいるのが見えた
5年ぶりに見る神楽、可愛らしかったあの顔は、その面影を残しつつ成長しており、
大きく開いた二重に、筋の通った鼻、ぷるっとした唇。完成された美しさだった

貧相な胸だとからかい、それでも愛しかった体は、綺麗な曲線を描き、造られていた
チャームポイントのチャイナ服を、より着こなし、風に靡いてゆれるその服から覗くのは
透明感のある白い太股、くびれたウエストを登っていくと、けっして大きくはないが綺麗に
形取られた胸が主張していた

思わず沖田は見入っている
隣のザキといえば、顔を赤らめ、それでも信じられないような目で神楽を見ている

ラピスラズリの大きな瞳を、零れ落ちそうな勢いで潤ませる神楽に、隼人の声がかかる

指を指した先にいるのは、紛れもない蒼だと確認する。大きく瞳を揺らし、気付いた時には駆けていた
瞬間土方が読んだが、背中には届かない。一人で飛び出してしまった神楽だった

まだ状況が読めない沖田は其処に立ち尽くす。
感情が付いていかないのは当然だった。
忘れたくて、どんなに忘れようとしても心の奥底で住み着く女が、目の前にいきなり現れたのだ。
それも成長して…。

そしてそれは、神楽に取り残された一人の男の子の声で、ますます混乱を深めていく

「パピー?僕のパピーですか?」

……To Be Continued…







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