「沖田隊長、公園から通報です!!」 

廊下をドタバタと走って来て、スパンと開けられた沖田の部屋
山崎は肩を上下させて居る。沖田は机に向っていた顔を起し、正面を向く

「内容は?」
低い声で短く返答する。そう言ってる間にも、既にベストを着込み、隊服の袖を通す
目を通していた書類をそのままに、刀を腰にさす

「ハイ。先週脱獄した、婦女暴行犯です。人質を取るために、昼間の公園に行ったものと思われます。しかも、その男は隼(ハヤブサ)族のいわゆる天人です。」

早足に廊下を通り過ぎながら、山崎は言う。沖田は、チッと舌を鳴らす。
隼族。剣の使い手の一族だ。普通の人間では、まず太刀筋は見切れない。

元々は、この男の逮捕については、同じ剣の使い手である沖田を付かすつもりだったのだが、あいにく大きな別件を抱えていたタメ、どうしても無理だった。
その所為か、死者は出なかったモノの負傷者が相当出た。
この隼族一人に、相当な人数でかかったのだが、太刀筋が読めない隊員が何人来たところで、同じであった

突っ込み、死を覚悟しての取り押さえ。確かに取り押さえる事は出来たが、隊員の一人は重傷を負った
近藤は、最後まで沖田をどちらに付かせるか悩み、そして大きいヤマの方につけたが、果たしてそれが良かったのか、後になった今でも考えていた。

確かに大きなヤマの方も、沖田が無事に片付けたのだが、隊員の一人を重傷まで追いやった。
この仕事をしていればこの様な事も付いて回る。それはどの隊員も分かっている事だったが、やはり近藤としては、判断ミスか…と考えていた

そして、今回、その男が脱獄してしまった。今度こそ沖田をと近藤は身を引き締めたのだった



「土方さんは?」
「副長は、すでに現場に向われてます」
車に乗り込み、二回目の舌打ちが聞こえた。遅せェ!…そう罵声を飛ばす土方の形相が今にも浮かんできそうだと、沖田はウンザリしながら窓を見つめた…。



……To Be Continued…







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