act 30

「―――!!。い、今何時ッスかぁぁぁ!!」

学生の頃を彷彿させる様に、また子はベットの上から勢いよく飛び起きた。
すぐに自身が上半身どころか、身に何も纏っていないのを確認すると、あわわと布団をかき集め体に巻きつけた。
そして今の自分の状況を思い出すと、一瞬パッと頬を染め、身に何がおきたのかを察した。首を右に、左にと確認するが、そこには何もない。そして隣に居るはずの人物の影も見当たらない。と、すぐにリビングからテレビ音が耳に入ると、ずずずと布団を引きずって、男の前にと姿を現した。

「い、今何時ッスか?!つーか服!服を何処にやったッスか!つーか何で起してくれなかったんスか!」
鼻息荒いまた子を見るなり、くくくと隠した張本人が笑った。
「オメーがぐっすり眠ってたからだろう。」
「ああああれは眠ってって言うより気絶って言った方がゴニョゴニョ…。」
また子の様子に高杉はもう一度笑った。
しっかりと高杉は出かける用意も出来ていたし、また子が作っておいた朝食も完食している。どうやら朝っぱらから激しい【運動】をしたのが良かったのか、機嫌も良かった。しかし反対のまた子といえば、服を隠され、大事な時間をすやすやと布団の中で気絶していた事とあって、すこぶる機嫌が悪い。また子は大股で高杉の前に立ち、手を差し出した。

「服!返してくださいッス!」
「自分で探せばいいじゃねーか。」
キィィ!とまた子はドスドスと足踏みをした。それを楽しそうに見てるのは、やはり高杉だ。
「とりあえず今何時ッスか!」
「二時。」
「に、二時!?は、早く服返してくださいッス!あっと言う間に時間がなくなっちゃうッス!」
今度はわたわたとしだした。そんなまた子を見上げながら、あいかわらず不敵に高杉は笑うだけ。
「せ、折角の休日なのに!もういいっス。自分で探しますから!」

そういうと、高杉に背を向け、やっぱりずるずると巻きつけた布団を重そうに引きずってまた子は歩き、もぞもぞと服を探した。足にまとわりつく布団が心底邪魔そうに、何度も払い退けながらすすむが、足を取られて転びそうになる。その度大きくまた子の素肌は露になり、またソレを撒きつけては一生懸命に探す…。くっと笑いながらも高杉の目は、つけっぱなしにしているテレビではなく、ちょこまかと動くまた子を追っている。

見つからない事にふんぬぅぅと怒り、時折キッと高杉を睨んではまた探し始める。怒りの所為でまた子には惜しくも伝わらなかったが、また子を追う高杉の瞳は、これでもかと言う程優しく、又、慈愛に満ちていた。

重い布団と、興奮する所為で、一気に消耗したまた子は、思わず足をふら付かせた。しかしそれを、いつの間にか後ろに立っていた高杉が受け止めた。

「何だ?また気絶するつもりかよ。」
誰の所為だと、また子は、うらめしそうに高杉を見た後歩き出した。が、目の前に差し出された服を見るなり驚いた。



「早く着替えろ。日が暮れちまうぜ?」


だからアンタの所為だろうがと思ったが、そこはあえて声に出すことなく、また子は寝室へと急いだ。

「俺が着させてやろうか?」
リビングからイタズラな声が聞こえると、思わずその動作をとめた。
「けけけ結構ッス!いいから其処に居るッス。」
「陽の光があたる中、しっかりと堪能させてもらったぜェ?その曲線も、その声―――。」
「ワーワーワーワー!!!。い、いいからもう黙って欲しいッス。」

よほど急いで着替えているのだろうか。
時々、どこかに足をぶつけた様に悲鳴と泣き声が聞こえてきた。
高杉はそんな声さえも愛しそうに、相変わらずの彼のどくとくの表情で笑った…。



……To Be Continued…

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