act 2

沖田は、肘を付き、再び窓の外を見る。その隣の神楽は通路側を見る。
土方は不機嫌オーラを最大に同じように窓の景色を見ていた。あの取っ組みあい寸前の状況を、静かにミツバが制す。それぞれが大人しくなった代わりに、意心地悪い空気が漂う。

神楽は思わずため息を付いた。これでは学校と変わらないじゃないかと。そんな神楽に後ろから声が響く。声の持ち主は、新八だ。

気まわしの上手い新八は先ほどから後ろをちょくちょく振り返っていた。そしてこの空気の悪さに新しい風を入れようと神楽の座席と背あわせになっている向こう側から声をかけたのだ。

「神楽ちゃん、お菓子食べない?」
沖田と同じように肘を付いていた神楽の瞳がピクリと動いた。直ぐに席に膝立ちになり、新八の方へ席越しに体を寄せる。
「何?何くれるアルカ?」
「うん、沢山あるよ。ポッキーに、飴に、ポテトチップス…。」
神楽は目をキラキラさせた。実は、今回、遠足の様にお菓子を持ってきたかった神楽だったが、銀時からもらえたのは300えん。これじゃ何も買えないと神楽は抗議したが、銀時は譲らなかった。

そんな神楽にとって、まるで救世主の様に新八が見えた。神楽は興奮し、椅子の上に立った。
膝上10cmのスカートが揺れる。斜め前の土方は途端赤面する。そんな土方の様子を沖田は見る。

神楽は、興奮して、早く頂戴と身を乗り出した。ふわり、スカートが揺れた。新八が危ないから座ってなよ。そう言った。しかし神楽は聞かない。ドンドンと飛び跳ねる。振動が隣の沖田に伝わった。
沖田は舌を鳴らす。

「オイ。クソチャイナ。座れや。」
神楽はピクリとなり、一言、嫌アル。そう答えた。
沖田に顔に青筋が立てられた。真正面のミツバが口を開いた。
「神楽ちゃん。座った方がいいかなって私も思うんだけど…。」

困った様に笑いながら、そういうミツバに、神楽は、でも…。そうお菓子を恨めしそうに見る。
新八はお菓子をそれぞれちょっとずつ、律儀にビニール袋に入れている。何処までも面倒見がいいと周りは思う。
ミツバは、神楽をもう一度呼ぶ。あのね、その、スカートが…。

其処まで言ったとこで神楽は気づく。あっ。そっか。そう言うと、スカートの下が見えないように手で押さえた。
しかしこれではあまり解決にはなってない。相変わらず土方は顔をそむけている。ミツバへの配慮とも思えた。
アイビーグリーンのスカートはぴたっと、神楽の足に押さえつけられている。
ぎゃくにきわどくなった気がするのは、何もミツバだけではない。其処から覗く白い太股がちらちらと神楽の後方席の生徒に触れる。

すると、一際大きな声が神楽より、ミツバより後方の席から響いた。
「チャイナァ。すっげェいい眺め。」
その声に振り向くと、通路側に座っている高杉と目があった。もう一つ声が重なる。

「神楽ァ、高校生にもなって水玉はどうかと思うよ、俺ァ。是非、ヒモパン推奨します!」
高杉の一つ後ろの席にいる銀八の声だ。高杉の隣から、ヒョコッと顔をだしたまた子は、口でパクパクと見えてる〜!。そう言った。

流石の神楽もコレは恥ずかしかったらしい。高杉は勿論、銀八でさえ、声を大きく言ったのは、イタズラ心ではなく、神楽の隣の男の逆鱗に触れ、爆発するのをあえて防ごうとした結果だった。ただし、銀八はちょっと行き過ぎた発言だった。おかげで、どっちにしろ、この男。沖田総悟の逆鱗に触れる事となったのだ。



……To Be Continued…

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