act 2

その日の朝は、いつもより早く起きた。
昨日の言葉が夢じゃなければ、今日、自分は沖田に告白する。
考えるだけで、ドクン、ドクンと心が悲鳴をあげた。速さに耐え切れないと悲鳴をあげた。

パジャマを脱いで制服に着替える、歯磨きをする、ご飯を食べる。
何をしても、心此処にあらず…。制服のボタンは掛け間違うし、歯磨きをしようと思えば洗顔フォームだったし、ご飯は、喉につっかかった。つまりは緊張してると言う事…。

ふぅーと長い息をついた。
勝算は…。無いわけじゃない。それどころか、ちょっとイケルかも、何て思ってるいる自分がいる。

告白してくる女の子は、片っ端から振っていたし、フラれた女の子達の間では、本命がいるのよ。
何て台詞も聞いていた。

何より、自分が告白される時に、沖田が向ける視線、その態度。
期待せずには居られなかった。儚い、今にも切れそうな糸で繋がっている様な感覚から、ちゃんと、赤い糸でしっかりと結ばれた関係になりたい。本当は、皆に言われるまでもなく、そう思っていた。

ただ、もし、もし、自分の思い違いだったら、沖田に、別の本命がいたなら…。
そう思っては、いつも尻込みしてた自分…。

お妙の、大丈夫との言葉。
やって…みようかなと、思った今日。あぁ、神様、助けてください。なんて、漫画のヒロインじみた事を思ってみる。
ボタンを直す。学生の寮費を銀八に出してもらい、住み始めた部屋の鍵をがちゃりと閉めた。

トレードマークになりつつある赤ジャージも、今日は履かずに、自分の中の乙女全快で勝負だと風を切り、走りだした…。

....


電車に乗ると、早くも沖田を発見してしまった。やはりいつものアイマスクをしている。

さらさらのハチミツ色した髪の毛が、マスクにかかる。綺麗だな、なんて思ってたのも束の間、いつもの如く、あっという間に電車は混み出した。

自分がこんな思いをしていると言うのに、沖田も一言、席を替わってやるだなんて、言ってもよくはないか?との思いに駆られると同時、沖田にとって、自分はどうでもいい女なのではないのかと言う思いにも駆られ、虚しくなるので、考えるのを止めた。

いつもの如く、電車は込み合う。女もんの香水の匂いや、サラリーマン特有の匂い、色んな匂いが混ざり合って、神楽はいつも気持ちが悪くなっていた。電車の真ん中、つり革には背が届かない。

埋もれる人の中で、人が居る分、倒れずにすんでいたが、身動きがあまり取れなくて、きつくて、苦しかった。

――そんな中での事だった…。

神楽の太股に、感触を感じたのは…。
初めは、偶然かと思っていた。こんな込み合った車内では、触れたくなくても、当たってしまう場合が多々あるのも事実だったから…。しかし、どうやら偶然ではなさそうだった…。

遠慮なくその手は、神楽の太股を撫でまわし始めた。背筋から、ぞわっと鳥肌が立った。カッと顔が赤くなる。怒りの為だった。その口を開けようとしたと同時に、その無遠慮なふざけた手をひねあげてくれようと手を伸ばした…。

「あの…。沖田、総悟先輩じゃありませんか?」

電車の騒音と、音楽の漏れる音、人が話す声に紛れて聞こえた声に神楽は全ての動きを止めた。

「んぁ〜。せっかく眠ってたってーのに…。一体ェ、ナンなんでェ。」

神楽の喉が鳴った。思考が全て溶けてしまったように何も考えられなくなってしまった。神楽の太股はその手に撫で回される。下着に手がいった。神楽は唖然となる口を手で覆った。

ただ、ショックだった。しかし言い返せない。沖田に知られたくない。恥ずかしい…。ただ、その思いだけだけだった――。
「あの、前からよく見かけていたんです――。」

沖田と他校生徒の女の声が他人事の様に聴覚の元で溶かされ消えた。

神楽は逃げようと、もがいた。
しかし前にも、後ろにも、横にも、人は埋まっている。動けなかった。
自分の真後ろから、触われる感触に、コレ以上好き勝手させないと、足をピタリとくっ付けてみた。唇を噛み締め、バレたくないと背筋をピンとさせた。その手が離れた事で、神楽はふっと息をついたが、その直後いきなり前からスカートの中に手を滑りこませられた。

「ひぅ…!!」
思わず出てしまった声が自分の耳の奥底まで届いた事で、羞恥心が更につよくなり、瞳が、赤く充血した。

知られたくない、知られたくない。知られたくない…。知られたくない!

喉を何度も鳴らした。飲み込む唾液が口内になくなり、カラカラになっても、飲み込んだ。

男の手は、神楽の小さな割れ目をなぞった。足ががくがくと震え、力が入らなくなったのをいい事に、スルリとその中に滑り込ませた。神楽の神経がプツリと切れた。足をふんばると言う思考さえもなくなっている。
全く湿りっけがないその場所を男の手は何度も往復した。

神楽の俯いたその顔は震えた。男の手と、電車の揺れで、その場所がおかしく火照っていく。

おかしい、おかしい、おかしい…。こんなのおかしいアル!

思ってはみるが、体がどんどんと熱くなっていく。体全身が震えだした。先ほどまで湿りっけが全くなかったその場所は、自分でも分かるほど、ぬるぬると感触に犯されていた。

その手は、何度も何度も擦りつける様に執拗に其処を攻める。真ん中の部分を中指の爪で引っかく。
気が狂いそうだった…。

どんどん、体がおかしくなる。ふとももに、何かが伝う。
立つ事だけに、神経は集中している様にも見えるが、その襲われるような快感に、脳が壊れていった。

耳たぶに息がかかった。神楽の体はビクリとしなった。

「イけよ…。」

言われた瞬間だった。高速で動かされたその指と共に、神楽の顔はぐにゃりと歪み、後ろの、その男にもたれかかりながら、ビクン、ビクンと体が何度も跳ねた。眼鏡がくもり、口は半開きで、視線はどこへやら…。電車の揺れとともに、指の余韻と共に、何度も、何度も、狂うように、壊れて行くように…。



……To Be Continued…

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