act 27

言い訳くれェさせてくれ。

男なら吐く時があるであろう、その台詞を、俺は心底心の奥で思った。
自分を分析するなら、比較的俺は冷静な男だったはずだ。
あぁ、ちげェ…。あの人が絡むと俺は冷静じゃいられなくなる。


ただ、それだけだったハズだ。
そのひとつだけ。譲れねェものは…。

箍(たが)が外れると言う台詞を聞いた事があるが、まさか、この俺がそんな行動に見舞われるなんざ、思ってもなかったぜ。
しかも相手はこの、クソ女。

一体ェ、いつからだ?付き合い始めたきっかけは?
やべっ。今はそんな事考えてる場合じゃねェ。俺に背中を向け沈黙を決め込むこの女を何とかこちらに振り向かそうと俺は頑張っている。
にも関わらず、この女の機嫌はなおらないらしい。

いや、確かに、ちょっとヤリすぎたと言う自覚は持っている。それは認めようじゃねェか。
しかし俺は何度か聞いた。もう止めるかと…。ただこの女は続けろといったんでィ。
だったらヤルしかねェだろィ?

酷い?仕方ねェじゃねェか。この俺が唯一身も心も欲しいと思った女が一糸まとわぬ姿で俺の下で恥ずかしそうにしてんでェ。理性も箍も、ぶち壊していきやがった。

ぁあ?初めてだったら、もうちょっと優しくするべきだぁ?
ンな事ァ、言われなくても分かってらァ。だから悪かったって謝ってンじゃねェかよ。
あのなぁ。言っとくが俺が謝るなんて、お釈迦様もビックリな状況だって事ァ分かってんのか?

こうなるのが恐くて今までセーブしてたんだが、一度外れた箍は、元には戻れねェモンなんでさァ。

だって見てみろィ。流れる様に曲線をつくる背中。真っ白でさァ。
華奢な肩は、強くにぎりゃぁ、今にも折れちまいそうでィ。
背中の向こうには、丸みを帯びた尻。触ると溶けちまいそうな、なめらかな肌。

コレ全部俺のモンでェ。誰にもやらねェ。見せねェ。
あ?旦那は、もしかしたら、ちらりと見てるかもだと?心配すんな。今度抹殺する予定でさァ。

だから、正直泣き出しちまったコイツを見てだな、俺の息子は正直なわけで…。
分かってンよ。俺もそこまで鬼畜じゃねェ。

いや、鬼畜はむしろコイツじゃネ?金輪際シタくねェときたモンでィ。
ンなこたァ、俺が認めねェし。

コイツも嫌で嫌で仕方なかった訳じゃねェはずだ。
ほんの稀に垣間見せた顔は、ありゃぁ絶対ェ感じてた。
一人よがりじゃねェ。これでも感じてる女の顔なんざ見飽きてらァ。
旦那ンとこの童貞野郎と一緒にすんじゃねェや。しかし、なんだな。惚れた女の顔っつーモンは、これほどまでに掻き乱されるってこった。

な。仕方ねェんだよ。
コイツが俺を溺れさすから悪りィっつー事で。
あ?そんなんで済ましちゃ駄目って?

馬鹿やろう。さっきも言ったが、コイツの方がぜってェ鬼畜だって。
俺の体なぞりながら、その気になった俺に待ったをかける。焦らしプレイ以外のなにものでもねェし。

男の体はそんなに簡単に出来てねェっつーの。いや、ある意味、簡単で単純なんだが…。しかし俺の息子はコイツにしか反応しねェんだな、コレが。

まぁ、もともと寄ってくる女を食ってただけで、心まで持ってかれた事はなかった訳だが…。

しかしこの女はすげェ。性欲より理性を勝たしちまった。
止められるわけねェよ、と思っていた俺の半分ぶっ壊れた理性を、意図も簡単に繋いじまった。

痛い事はしねェなんて、散々無理させた俺の言える台詞じゃねェかもしんねェが、とりあえずコイツには伝わったらしい。しかしこの状態。とりあえず…。抱き締めるくれェいいだろィ?。

あたしの事がスキって顔中に書いてアルネ
なんて、俺の中に治まる華奢な女は言う。あぁ、やべェ。マジでやべェ。
コイツは何で、こう意図も簡単に爆弾を落としちまうんでィ。

俺の言葉にイタズラな顔で見上げるこいつに、俺の理性を繋ぎ合わせる要素が一つもなくなったと俺の回路は切断された…。

次は、この舌で、この指で、優しくしてやっから…。この先は俺らだけの秘密って事で…。



……To Be Continued…

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