act 20

淡い照明、向って左の席、泥酔した客、二名。そして、向って右の席、色とりどりの感情が行き来している。
そして、新たな風が吹き込まれた。いかにも気の強そうな、それでいて、悪に手を染めています…。そんな奴ら。
既に酔っ払い、店に入店直後から大声での会話、横暴な態度。席の真ん中、4人は座った。

その男達が入ってくるなり、土方、近藤、沖田、銀時の顔付きが変わった。
何故か、そう言われると返答に困るが、何か、勘のようなものが働いた。酔いもさめたらしかった。義正は不安げな表情で近藤を見ている。浅野は関わりたくねェとの態度を全面的に表している。

しかし、百合、神楽、椿は違う。接客をしなければいけない。
先ほどまでひがんでいた椿と、百合だが、やはり女の子の団結と言うものが暗黙の了解であるらしく、どうする…。そんな目で三人は視線を交差した。百合も、椿もプロではあるが、やはり、こんな風な人間を接客するのは、嫌なもので…。そんな二人を神楽は見ると、自分が付く。そう言った。この言葉に椿と百合は反対する。そもそも神楽は接客をしないとの条件だったはずだ。しかも、あんな見るからに性質が悪い客につかすなど、同じ女として出来なかった。しかし、そうこうしてる間にも、早く、来いと声を上げている。

神楽が、姿を現すなり、男は、待ってましたとばかりに騒ぐ。まだ何も注文してない内から男は神楽の手を引こうとした。その手を逆に神楽が掴んだ。
「オイタしたら、殺すアルヨ。」
にっこりと微笑みながら、ぎりぎりとその男の手をつかんだ。声をあげ男は痛てェと叫び、離された手をぶらぶらと振った。何かしたら、叩きだす。本気でそう思った。神楽は、男に注文を聞く、さっさと去る。
よし、これならいけるかも…。一人神楽はガッツポーズをした。カウンターに入るなり、椿と百合が神楽を迎える。さしずめ、ボス戦を挑む女達の図だった。

向って右側の席、女は居なくなり、静かにこちらの様子を伺うように見ている。実の所、この男達が暴れ出す事が神楽にとって、一番やっかいだった。

しかし、どっちにしろ、椿と百合の仕事は席に付くことであって、客もそれを望んでいる。心底席に行きたくないとの表情をしているが、やはり、其処はプロ根性で椿と百合も前にでた。そして、神楽も席に付いた。
沖田が、見てることも、銀時が見ている事も、分かった上での事。

百合と椿は、頑張って、何とか会話で場を持たせようとしてみるが、その手は全く通用してなかった。
男は、百合に抱きつこうとする。が、まずは其処を立ち上がり神楽が、止めた。
「ここは、そう言う店じゃないアル。帰ってヨ。」
さらりと言い放った。やっと言えたと満足げだ。しかし、別の男が今度は椿肩をぐいっと寄せた。銀時たちが席を立とうする前に、神楽はグラスの酒を男の顔面にぶっかけた。男が声をあげたのは言うまでもない。
「なにしやがる!」
「お前こそ何してるネ。さっきも言ったけど、此処はそう言う店じゃないアル。帰るヨロシ。」
男は立ち上がり、カッと神楽の首元に手をだしたが、神楽は容易く掴む。そして捻ると男は悲鳴をあげた。
「どうするアル。帰るアルカ?」
百合と椿は、ボー然と神楽を見ている。神楽は腕を組み、もう一度帰るかどうかと聞く。これ以上になれば、即ぼこぼこにして吊るしあげて、血反吐はかせてやろうと神楽は頭のかた隅で考える。
すると、分かったと乱暴に言葉をはき捨てると男達は立ち上がった。百合と椿は心底ホッとしている。
お手拭きをテーブルに叩き付け、弾みでグラスをカタンと倒してしまい、テーブルの上には酒が流れた。それでもなんでもいいから、出て行ってくれと椿と百合は思う。金なんか払うかっ!一人の男が叫んだ。神楽は、そんな事どうでもいいからとヒラヒラと手を振った。

その時だった。男の一人が神楽を羽交い絞めにした。きゃぁと百合達は叫ぶ。男は刃物を百合達に突きつけ、騒ぐんじゃねェと言う。今から、時代劇でもはじめるんですかとの場面に神楽は呆れた。ほんの少し、力をだせば、意図も容易く男はふっとぶ。さて、どうしようかと神楽が考えていると、奥から声がした。

「触んじゃねェ。」
一般人四人位、神楽にかかれば、ひとたまりも無い。そんな事は皆も十分に分かっていた。だからこそ、銀時や土方も、若干安易に構えていたのだが、やはり沖田は違ったらしい。接客の所まではまだ良かった、羽交い絞めにせよ、何にせよ、触れた時点でアウトだった。沖田は神楽の前まで来ると、口を開く。
「その女を離しやがれ。」
冷めた視線で一言。神楽は驚いていた。まるで、まるで普通の女の子みたいじゃないか、と。別に離してもらわなくても、自分で離す事は簡単に出来てしまう。しかし、どうにもこの守られている感が、どうしようもなく嬉しい…。
神楽を羽交い絞めにしている男は酒の所為で調子に乗った。その男の周りもケラケラと笑う。そして、神楽を更にぎゅっと強く締め、その短い着物の裾から見えている白い太股を、これ見よがしに笑いながら、撫で回す。

そして、其処までで、沖田がプツっと切れたのだった…。


……To Be Continued…

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