act 7

何も、何も言わず、ただ、ただ、抱き締めた。沖田も、高杉も、近藤も、土方も…。
タオルからはみ出ている、細く、今にも壊れそうに震えるその肩を、ただ、抱き締めて…。

神楽は、抱き締められた沖田の腕の中、一生懸命泣き止もうと涙を拭ってみるが、後から後から溢れてくる涙にしゃくりあげた。沖田は背中をさすり、神楽のやわらかい髪に口を落とす。どんなに、言葉で拒絶をしても、どれだけ態度で反発してみても、ココロまでは騙せるはずもなく、沖田を抱き締めている手に、自然と力が入る。離れたくない、と。いつも香る香水の匂いも、いつもと変わらない体温と、感触と。やっと触れられたと…。

沖田は、土方に視線をちらりとやった。そして、ばつが悪そうに首を掻く。そして、それはどの男も同じだったらしく、行き所のない手が、頬や、頭を掻いた。彼女に我慢をさせていると言う自覚がなかった訳じゃない。寂しい思いをさせてるというのは、十分分かっていた。しかし物分りがいいと、甘えた部分があった事、甘えすぎていた事を、たった今、理解した。

背中を、ぽんぽんと。言いたい事、話さなければいけない事は山程あるが…。

「とりあえず、服、着てくれねェか…。」
あっ。そうだ、と神楽は涙を拭った。恥ずかしそうに顔をそむける。沖田の手を離れ、服を取る。
神楽に続き、また子、ミツバ、お妙も濡れた頬を軽く拭い、男の元から離れる。お妙は、ちらりと近藤を見ると、玄関をさした。つまりは出て行けと言う事。

近藤に続き、土方、高杉、沖田が背を向け、玄関口へと向う。ガチャンと扉がしまった後、ため息が出たのは、ドアの、コチラ側も、アチラ側も同時だった。
ミツバは、神楽の頭をよしよしと撫でる。辛かったね。そう言うと、また泣いちゃいそうアル。そう言って神楽は笑った。その笑いにつられ、お妙とまた子は笑みを漏らす。
「――にしても、さすがに驚いちゃった。」
お妙の声に、皆ほぼ同時で頷いた。
「何でバレたアルカ?」
「――全然わかんないッス。」


.......


神楽の部屋のクローゼットの中、男が揃いもそろって覗く、そして、全てを理解した後、ため息を長くつき、頭をガシガシと掻いた。笑いそうになるのを必死に神楽達はこらえ、ベットに座り、事の顛末を見ている。
すやすやと寝息を立てていた二匹の子猫は腹がへったと、いそいそとクローゼットの中から顔をだし、お尻を可愛くふり、小さな尻尾を振り、神楽とまた子の側でニャァと泣いた。よしよしと撫でてやり、餌を構えてやる。可愛いでしょ?ミツバが言うと、可愛くねェ。若干拗ねた様に土方が言った。

それにしても、先ほどの展開からして、どうしても気まずさが残る。おお泣きした神楽は、アレから結局沖田と言葉をかわしてなく、そして、それはまた子も同じだった。
お妙は困った様に神楽を見る。そして、おもむろに立ち上がった。
「じゃぁ、私、帰りますね。」
えっ?!
神楽とまた子は目を丸くした。そのお妙に向けられた目は、まるで子猫の様にすがっている。
待ってヨ!神楽はお妙の腕を掴んだ。だって…。そういうと、自分のバックに視線を落とす。その視線にまた子、ミツバも加わり、まさかと三人は唖然とさせた。お妙は柔らかく笑う。無理、無理、絶対無理アル!神楽は言う。
あら?どうして?お妙は言う。だって、そんな…。神楽の姿をそのままに、腕を離し近藤にと視線をずらした。当たり前の様に近藤は立ち上がり、お妙を追う。

部屋に残されたのは、残り、3組…。


……To Be Continued…

作品TOPに戻る







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -