act 6

「痛ってェェ!!何しやがる、このクソ女ァっ!」
小さな脱衣場の中から、平手うちの甲高い音と、直後、沖田の声が聞こえてきた。各々がその小さな部屋を思わず見ると、その行く末を見守った。

「ほっとかれて、次は浮気の疑いアルか?最低ヨ!」
「おめェが、浮気してるって言ったんだろうが!」
「誰もそんな事言ってないアル!最低!帰れ!お前もう帰れヨ!」
「ぁあ!?折角時間空いたから逢いにきてやったのにっ!その言い草は何なんでィ!」

刹那、もう一度沖田は平手うちをくらった。脱衣場の奥から聞こえる音に、思わずお妙とミツバは顔を見合わせた。ピンと来たらしい。確かたった今高杉もタカは誰だといた。経緯は分からないが、あの会話を聞いていたんだろうと。もしそうならば、喧嘩する理由が、とても馬鹿らしいものになってしまう。また子は起き上がり、おそるおそる脱衣場へと向う。

「逢いにきてやった?!時間があいたから?」
神楽は鼻で笑った。直後きゅっと唇を噛みしめ、沖田を押し、脱衣場から勢いよくでてきた。また子は驚いた。神楽が泣いていたからだ。ね…。多分勘違いしてるッスよ。神楽に言うが神楽は無言で服を探し掴んだ。えっ、ちょ、何処に行くッスか?また子は神楽に言うが、神楽は頬を拭うだけで、何も話さない。そんな神楽がふと、手を止めた。

「ごめん、また子、もう限界アル。沖田と、これ以上やってけないヨ。もう無理…。ゴメン。」
みるみるうちに神楽の顔はぐにゃりと崩れた。そして声を出しながら泣き出した。其処にいた皆、口が塞がらなかった。鳥肌が内側からでてきてしまう。嘘だろ…。誰かの声が聞こえた。嘘でしょ…。誰かの声が溶けた。

「だっ、だから誤解ッスよ!だって勘違いしてる。どうみても勘違いしてるだけじゃないッスかぁっ。そんなんで別れるなんてっ。」
神楽はふるふると首を横にふった。
「そんな事じゃないんだヨ。そんな事じゃ…。違う、違うアル。もぅ、駄目ヨ、やってける自信ないモノ。」
そんな…。また子は言葉を失った。理由が分からない。神楽が何をいってるのかが分からない。でも、このままじゃいけない事は分かる。だから、神楽の手を、服を取るその手を止めた。神楽はまた子の手を振りほどこうとした。しかしまた子はぐっと掴んだ。その手にミツバとお妙が加わった。別れて欲しくない。皆そう思っての行動だった。その肩に手が置かれる。その人物を見ると、ゆっくり神楽の手を離した。次々に離され、最後、神楽の体はふわり。抱かれた。そして床へと立たされた。

何ヨ!。神楽は言った。しゃくりながら、沖田の胸をドンと叩いた。それでも気がすまなかたらしく。両手で叩きだした。しゃくっていた声はどんどんと大きくなっていき、子供じみた声で泣き出した。瞳から溢れた涙はそのまま頬を伝い、ストン、ストンと床に落ちた。
「っッ!空いたからって何?逢いに来て――っやったって、なに?!。そんな気持ちで逢いにくる位なら…なら――。」
崩れそうになった直前、沖田が抱き寄せた。女の子の目には涙が溜まっていた。自分達の気持ち、全て代弁してくれた神楽に、自分たちの思いがシンクロした。男達は唖然とした。自分の女が必死に堪えてるその背中が、震えてるのに気付いて…。その細い指が流れてくる涙を、さも隠す様に素早く拭うその様を、それでも追いつかなく頬に流れてゆくその涙を…。

何かに突き動かされた様に、男は、その細く震える体を自分の中に閉じ込めた…。

……To Be Continued…

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