act 18

ゆらゆら、揺れながら、神楽は沖田の腕の中を離れ、地に足をつけた。よほどクラクラしたのかくるくると眼をまわし、ふるふると首を振った。が、たったそれだけをした位じゃ全く酔いが覚める事なく、又、よろよろとよろめいた。が、よろめいた先、神楽が掴んだのは。
「銀ちゃぁん、銀ちゃぁん。」
銀時の胸だった…。

「や、やっぱり貴方、違うとか言ってましたけど、神楽ちゃんの彼氏なんですね!」
「だからちげェェ!!。」
義正は銀時にと詰め寄る。しかし目を吊り上げ銀時は否定した。確かに違うのだから、否定するのも無理はない…。しかしそれを事実を隠しているとふんだ義正と、そこに加わった浅野は銀時に詰め寄った。神楽はと言えば、同じ台詞を繰り返し言っている。そして、銀時にしなだれかかる。しなだれかかられたら、支えるのは、人間の性(さが)と言うものであって、そんな二人を我慢出来ない様に、浅野は神楽の腕を引っ張った。が、神楽自身が嫌ヨと銀時を離さない。

「銀ちゃんしゅきィ…。銀ちゃんは、あたしのものネ。誰にも渡さないアルヨぅぅ。」
神楽は、両手を銀時の腰へと回し、ぐりぐりと銀時の胸に顔を埋めた。銀時は慌てる、焦る、神楽を剥がす。が、神楽は離さない。更に銀時は焦る。おっと、冷や汗まで出てきた。酒が体から蒸発するのと一緒にエクトプラズムまで出てきだした。銀時は、ある方向をちらちらとしきりに、気にしている。なにやら言い訳を始めた。
「あ、ほら、神楽酔っちゃってるからねェ?誰かと間違ってるんだなァ、きっと!アハハハァ。」
「銀ちゃぁん、熱いアルぅ、とっても、とってもネ、熱いアル。水が欲しいアルぅ。」
「ぁあ?!み、水?ハ、ハハ、幾らでも飲みやがれコンチクショー!」

銀時は、近藤に合図する。近藤は酒が入ったグラスを他のグラスに入れ、目の前にある水を注ぎ、どうぞ!と差し出す。それを銀時はとり、神楽の前にと差し出した。しかし神楽はい〜や!とそっぽを向ける。神楽の手はよじよじと銀時の体を上り、やがて、首筋にとたどり着き、絡めた。

「銀ちゃん、飲ませてヨ…。」
トロンとした目つきで迫る。が、その顔を銀時は押しのけた。先ほどから、一つの方向ばかり銀時は気にしている。そして、遠くを見ていた土方も、銀時と同じ、その先を見て、顔をひくつかせていた。その視線を追い、近藤はヒョッ!と顔を真っ青にさせた。そんな事をまったく気にしていないのは、義正、そして浅野。
「神楽さん、この方がお好きなんですか?」
義正は神楽に聞く、神楽は柔らかい笑みを見せ、ウン。そう頷いた。で、でも、この方は貴方の事、なんとも思ってないみたいですよ!義正は言った。
「銀ちゃんはネ、照れてるだけ、いつもね、いつもあたしの事守ってくれるアル。あたしの事、とっても好きなんだヨ…。」
ゆっくり、ゆっくり、言葉を神楽は落とした。確かに、確かに間違っては居ない。いつも守ってくれるのも、家族愛と言う形ですきなのも、ただ、あまりに、誤解させる言葉であるのは、間違いなかった。
神楽は、銀時にぎゅぅとしがみ付く。義正は唖然とさせた。そんな光景においておかれた椿と百合は、二人して、土方の両側に座る。そして、あっちは、もう知らない。とでも言うように土方に話かけた。が、土方もそれどころじゃないらしい。いつ、止めにはいるもんかと、そもそも止めていいもんだろうかと、いや、大体、止めれるものかと、考えていた。

「銀ちゃん、ぎ〜んちゃん。銀ちゃ。だいだいだいしゅ――。」

その肩に手がかかった。サラサラの髪がゆらりと揺れる。先ほどまで静止を決めていたこの男が何故?
義正と浅野は沖田の方を見る。銀時はといえば、誤解だってェ。沖田くん、聞いてる?!などと、眠れる獅子を起してしまったと焦っている。神楽はと言えば、きょとんと沖田を見ている。

俯いている沖田の口から、ゆっくりと言葉が落とされた。
「テメーの男は…。」
ゆっくりと顔をあげる。その視線は神楽を突き刺した。神楽は思わず喉を鳴らした。
「俺だろうが!」
思わず張った沖田の声に、それまで無視をしていたお登勢も、義正も、浅野も、エっ?!と声を漏らしたのだだった…。


……To Be Continued…

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