act 7

「おつかれさん。」
微か笑った。神楽、また子は共に笑みを浮かべながら受け取った。コクン。口に一口分注ぐとその甘さが体に浸みわたった。クーッとひと飲み。飲んだ事でようやく相当喉が渇いていたと分かった。飲み干した空になったグラスを見ると、いい飲みっぷりだな、オイ。と高杉が笑う。にへらと神楽は顔を崩した。高杉は物静かなまた子の顔を見るなり、化粧が崩れてるぞと言う。顔を真っ赤にしながら、マジっすか!と叫ぶまた子に、思わず高杉と沖田は吹いた。冗談でさァ。沖田がそう言うとまた子は頬を膨らます。

一時の談笑の後、沖田と高杉は、また子と神楽と頭をポンポンと。まだ片付けが残ってらァと其処を後にした。空のグラスを洗い場に、二人の背中を追いかけた…。


更衣室、暖房の風も此処までは届かず、着替えるには寒かったが、また子お手製の絶品トリュフにしては、かえって寒い方が溶けずによかったと言えた。仕事も終え、また子、神楽、お妙の三人で更衣室にこもる。ラッピングされたその可愛らしい箱をまた子は持つ。この扉の向こう側、休憩室には、高杉、土方、沖田、山崎、近藤が居る。どうやって渡そうか…。三人は考えていた。まさか皆の前でなど、渡せる訳がない。神楽とお妙は顔を見合わせた。人差し指でなにやらお互いに合図をし、最後に親指を立てグッっと合図をする。

頑張ってね!そう二人はまた子に言う。何もこれから告白する訳ではない。菓子一つ渡すだけ。自分の得意なお菓子に、ひとかけらの思いを乗せて。それでも緊張はどんどんと増す。しかし神楽とお妙が助けてくれる。自分一人じゃないと緊張を逃がすように息をはいた。行くね。二人は扉を開ける。当然、視線は二人に注がれる。

まだ皆着替えていない。どうやら店の事について、軽く会議を開いていた様だった。お妙はゆっくりと微笑み前を通り過ぎる。神楽も一旦前を通り過ぎた。また子が出てこない事に皆気付いて、口を開けようとするのと同時、まずお妙が口を開いた。

「すいません。近藤さん、沖田さん。ちょっと来て頂きたいんですけど…。」
レジの調子が悪くて…。そうお妙は微笑んだ。レジ。それは分かるが何故ゆえ二人?と沖田は首を傾げたが、近藤がほいほいとお妙の後についていってしまったので、仕方なく席を立った。次は神楽の番だった。

「ちょっと相談に乗って欲しい事が…。キッチンの人と、ホールの人、両方の意見を聞きたいので、先に来てほしいアル。」
そう神楽は土方と山崎の服を掴んだ。仕事の事ならばと土方は面倒くさそうに立ち上がる。いいですよ。山崎も快く立ち上がり、神楽と共にホールへと足を向けた。

レジの方では、確かに調子の悪い機械に沖田と近藤は悪戦苦闘を強いられていた。確かに前々から開きにくくなってはいたが本当に会計ボタンを押しても、開かない。今日の会計はほとんどまた子が担当していたため、一度、お妙に言いにいったのだった。お妙は行った時、本当に開かなく、無理やりこじ開けた所為もあり、ますますレジは、ヘソを曲げた様に開かなかった。近藤と沖田はどうするか…そう悩んでいた。

一方神楽の方では、真ん中の喫煙テーブルに向かい合わせに三人で座る。で、土方は灰皿に灰を落としながら口を開いた。気のきく山崎は神楽にオレンジジュースを、土方と自分にはアイスコーヒーをトレーにのせ、持って来て、それぞれの前に置き、自分も席に付いた。
息を吸い込み、神楽は得意げに口を開いた。
「この店のメニューにデザートを置きたいアル!」
デザートぉ?!土方と山崎は身を乗り出し口を揃えた。


……To Be Continued…

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