act 3

昨夜、沖田の所為でイライラとし、まともに寝られなかった瞼を擦りながら下駄箱をみると、神楽はため息を付いた。まもなくクラスメイトのお妙を初め、ミツバ、また子が揃って神楽に顔を見せた。
そして、初めてではなく、今や日常的になっているその光景を見ると、お妙が口を開いた。

「神楽ちゃん、…又隠されたの?」
困った様に自嘲じみた笑みを浮かべながら神楽は頷き、靴下で床についた。
「一度沖田さんに相談したらどうっスか…?」

言いながらまた子は上履きを「履く?」と神楽に差し出したが、神楽は首を振り、「また子が靴下になっちゃうヨ。」と困った表情で笑みを作った。

歯がゆい表情で神楽を三人は見るが、神楽は、一瞬俯き、すぐに顔をあげ、「新しいの買って来るネ!」と笑いながら、職員室へと足を向け、走り出した。追いかけようとしたミツバの手をお妙は取った。ミツバは振り返りほんのちょっぴり、下唇を噛んだが、お妙が、首をゆっくり振ると、何も言わず階段へとその足先を向けた。

これが一度目?。
違う。もう何度目にもなっていた。
今のように朝来たらなかった事もあれば、帰り際に隠されており、お妙やミツバ、それにまた子も必死でさがしてくれ、結果、焼却炉に捨てられていた事もあった。

その度、神楽は、沖田にバレない様に新しい靴を買っていた。
沖田が、彼女である神楽をほったらかしにするのではなく、女の方が勝手に寄ってくるのだ。

そして、その度、何で沖田の彼女が神楽なのかと気に入らないそぶりを見せ、嫌がらせをしていたのだ。

当然沖田は気付いていない。勘のいい沖田に気付かれないように、神楽が徹底的に隠していたためだった。
そして、自動的に、近藤、土方、高杉にもしられる訳にはいかなかった。

好都合な事に、陰湿な嫌がらせは、目立ってやられる事はなく、神楽一人の時に向けられた。

好戦的な神楽の事であって、初めはその喧嘩を、高く高く買っていた。が、肉体的ではなく、精神的に追い詰められていくと、いくら神楽が普通の女より強いと認識が高くても、その鉄壁は容易く壊れていった。

すると今度はお妙が噛み付いた。そして右に同じくまた子。だが、神楽は、沖田にバレタクナイ。その一心から、戦線離脱していった。

――そして、三人は沖田に言う事を進めた…。

しかし、神楽は頑なに拒んだ。イジメラレテル。なんて言えないと…。


.....


「何で言わないんスか!!相談すればすぐ解決するッス。」
屋上、透き通る空に、また子の声は吸い込まれた。
お妙は屋上のドアに背を付けため息を付き、その隣で座っているミツバが口を開いた。

「知られたくないんだって…。」

「そんな事言ってる場合っスか!どんどん酷くなっていってるっスよ!このままじゃっ!つーか沖田さんに言えば一発で解決するっス!こんな事絶対ゆるさないっスよ!女とか男とか関係ないっスよ!ある意味容赦ないっスもん!」

言い切る頃には、肩でゼイゼイと息をしていた。しかしそれ程自分の中に溜まってる思いがあったのも事実であった。同意を求めるようにミツバを見る。しかしミツバの口からは予想外の言葉が帰って来た。

「私、ちょっと気持ち分かるな・・・。」 
また子は口を△にし、ミツバをくわっと見つめた。お妙は興味深そうに、ミツバの隣に腰を下ろし、憤慨しているまた子にも、此処に座ってと手を隣にぽんぽんとやった。また子がしぶしぶ腰を下ろし、乙女に恥ずべき、あぐらを組んだ所で、ミツバが口を開いた。

「何かうまくいえないけど、中々言えないじゃない?、助けてって。自分がイジメニあってます…なんて。」

また子はミツバの最初の言葉に終始頬を膨らましていたが、今の言葉を聞き、ぷしゅ〜とその頬をしぼました。ミツバはまた子に聞く。
「またちゃんなら、言える?」
「あたしは〜!」

強く言い放った言葉は途中でプツっと途切れた。
「し、晋介様なら、絶対助けてくれるっス…。でも、言いたくない…。」
「だよね…。」
お妙は自身の膝にほうずえを付きながら、此処で同意した。
そんな三人の沈黙を破ったのは、ホームルームのチャイムだった…。




……To Be Continued…

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