act 5

『うぎゃぁぁぁぁ!!』

けたたましい声が神楽のアパートに響いた。隣近所から、煩いとの声が聞こえてきそうなほどに。一人、二人、三人、四人、甲高い声が響いた―――。

せっまい、せっまいアパートのお風呂、そんな中、学生の頃の様に四人で入る。狭いとケタケタ笑い、順番に湯船に浸かる。
ここでも狭いと笑った。お泊りセットは、つねに各家にワンセットは置くと言うのが、彼女達の常識だった。いつでも、急でも泊まれるようにと。
ベットの上にそれを並べてある。浴室の中からは、キャァだと、ちょっっとぉ、だの、女の子特有の会話がちらほらと聞こえる。
主に触っているのはお妙であり、一番弱いミツバが標的になっているようだった。それぞれの彼氏の話になり、それは愚痴からはじまり、いい所の話に変化する。そして最後お決まりのシモネタに変化していき、出た頃には、のぼせあがっていた。
タオルを巻き、バッタンとベットに倒れこむ。途中、ふぎゃっとの声が聞こえ、慌てて身を起し、子猫に謝った。シングルベットは四人には狭すぎる。それでもベットの上が気持ちいいと、足を伸ばし、夢見心地で自分の中に篭った熱をゆっくりと吐き出していた。

そう。其処に、うっとりと目を瞑りベットに横たわる彼女達の前に、息もすれすれ、駆けつけたそれぞれの彼氏の姿があったのだ…。

「なななな?!」
真っ先に声を発したのは神楽だ。しかしその声は言葉にはならなかった。そして自分達の姿を見ると全員揃って可愛くない叫び声をあげた。
きゃぁ、などと、恥じらいを見せれば、まだ可愛げもあるが、実際に出てきてしまった言葉は、とても可愛いと呼べる代物ではなく、更に、我こそと布団で隠そうとするが、それは皆同じだったらしく、布団の取り合いになった。途中、ミツバの撒いていたタオルが取れた。きゃっッと可愛らしい声をあげ、必死にタオルを巻きつけ、恥じらいの背中を見せる。

男達は、ゼィゼィと肩を上下させ、彼女の姿を見るなり言葉を失っていた。しかし正気に戻ると、とりあえず土方は、高杉の背に蹴りをはめた。その次に沖田へと更に強い蹴りをはめた。そして、近藤に、見てないよな?アンタは何にもみちゃいねェ。そう脅す。首を上下に死にものぐるいで振る近藤の襟首から手をはなすと、つかつかとミツバの元にと行く。そして、自分の着ていた上着を脱ぐと上に被せた。

「てか、あいつらは何処でィ。」
静かに沖田は言う。その表情が機嫌が悪い事を表しているのは分かる、しかしその理由が彼女達には分からない。あいつらって?お妙は言う。あのなァ。高杉は言う。そしてまた子に視線を移す。また子は何でこんなに機嫌が悪いのかと思ったが、やっぱりその理由が分からない。わけも分からないけれど、機嫌が悪い。大体、機嫌が悪いのはこっちだと、また子は高杉に口を開いた。

「てか、何スか!逢えないなんていっときながら、こんな所まで遊んでるの邪魔しに来て、いい加減にしてほしっ――。」
皆唖然となった。高杉がまた子をトンと押し、ベットに押し倒されたその上から口を塞いだ。これには、また子も驚いているようで、しかも友達の前と言う事もあり、抵抗した。その手をベットに高杉は貼り付けた。なまめかしい声がまた子の口から漏れた。

ぷはっ。やっと息が出来ると、また子は息を吐いた。高杉は皆の視線を気にする様なそぶりを微塵も見せず、また子を見下ろす。

「タカって誰だ?浮気なんて許さねェよ。」
ふへっ?また子は素っ頓狂な声を出す。その横で、神楽が何で知ってるアルか?何で?エスパーなのかと口に手をやった。その手を沖田が掴んだ。そして、そのまま引っ張った。タオルが落ちそうな神楽は慌ててタオルをきゅっと持つ、沖田は神楽の手を引いたまま浴室の戸を勢いよくあけ、叩きつけるように破壊音を立て、その戸を閉めたのであった…。


……To Be Continued…

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