act 4

携帯の着信音は、確かに、確かにその着信を知らせていた。しかしその音は彼女達の耳に届くことはなかった。
神楽の部屋、ベットの上。放り投げられた携帯。そのベットの上の布団は遊びに来た友人の手によってめくられてしまった。携帯ごと包み込んで…。女だらけ、会話の中、その音は聞こえない。しかし、転機は訪れた。
また子が布団の上から、微妙な位置、ボタンを押してしまう。これで会話は通じた。彼女達は気付かないまま…。

携帯の向こう側、もしもし?男の声が聞こえた。が、気付かない。また子は捲られていた布団を元にもどし、そのベットの中、布団に包まった。此処で携帯は彼女の目に触れる事になる。しかし、まさか通じているなどと思うわけもなく、向こう側、男の声は彼女達の甲高い声にかき消され、聞こえない。知らないまま、彼女達は話し続ける。

「でも、神楽ちゃん、寂しいからって浮気は駄目よ。」
その声は、電波にのって、男の元へと届けられた。

お妙の会話を聞いた沖田。思わずハッ!?と声を漏らす。会社に残っていた、全員、思わず沖田の方を見たのだった。
構ってやれない彼女達にすまないと思う気持ちは、確かに男の中にも存在していた。しかし正直、神楽の言った通り忙しさにその感情がたびたびかき消されてはいた。ただ、ただ、がむしゃらに、遊び感覚ではじめた仕事とは言え、思ったよりもずっと軌道に乗るのが早く、そのスピードは今現在衰える事なく、進み続けている。大切に思ってない訳じゃない。ただ、自分の休む時間もやはり欲しかったのが本音だった。

今日の予定も、確かに断った自分が悪い。それは分かっている。だからこそ、仕事が片を付き、少し時間が空いたので、久し振りに彼女に顔を見せよう。そんな気持ちからかけた。なのに、中々携帯にでなく、やっと繋がった携帯から聞こえてきたのは、自分の耳を疑いそうな言葉だった。

沖田は携帯をもち、唖然としている。その携帯を土方が取り、もしもし。そう言った先、会話は当然の様につづけられていた。

「浮気なんかしてないアル!」
「あらあら、そんな事いっても駄目よ。ちゃんと証拠はあがってるんですからね。」
そういうと、お妙はイタズラな目で子猫二匹を見た。
「それは…。」
「それは?寂しかったからでしょ?神楽ちゃんだけならまだしも、またチャンまで浮気してるとわねェ。」
「ちっがうッス!」
「タカくんも、トシくんも、二人とも一目惚れしちゃったんでしょ。」
お妙のイタズラな質問に、神楽とまた子はたじたじになる。そんな様子をくすくすとミツバは笑った。
そんな会話を携帯の向こう側、彼氏が聞いているとも知らずに…。

「寂しかったヨ…。だってあいつ、ちっとも、あたしの事…。」
「そうっス。こんなにほっとかれて…。」

そうだよね。お妙は切なそうに笑った。ちょっとは気が紛れた?お妙は子猫を抱き、撫でた。神楽はうん。そう笑った。
「トシは、あたしの支えなのヨ。それはきっと、また子も同じ。そうデショ?」
「タカくんは、あたしの事癒してくれるッス。抱き締めると、その温度があったかくて…。」

今度あたしにも貸して?お妙は神楽に言った。駄目アル!神楽はトシを抱き締めた。
「トシはあたしだけのトシアル。」
じゃぁ、またちゃん、タカくん一晩貸して?あっ。わたしも一日なら…。ミツバが参戦した。
だめだめェェ!絶対駄目!。もう一日だって離れてられないもの。神楽とまた子は言う。が、お妙とミツバも引かない。いいじゃない一日だけなら。たった一日だけ、いいでしょ?。神楽とまた子は頬を膨らませる。
じゃぁ、四人で一緒に寝ればいいアル。皆一緒デショ。神楽は言う。それでもいいわ。妙が言う。うん、なんなら今日は?ミツバは言う。


小悪魔の会話は、神様のイタズラによって、電波に乗り、彼氏の元へと、確実に届けられたのだった…。

……To Be Continued…

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