act 17

「オイ!神楽!」
神楽は完全に意識を失っていた。この事態に思わずお登勢も席を外し、こちら側に来る。そして来るなり、なんで飲ませるんだと銀時を怒鳴りつけた。その言葉に、まるで子供が言い訳をするように、こいつが勝手にやって、止める暇もなかったんだと、銀時は目を吊り上げた。アルコール中毒を心配しているようだったが、どうやらその心配はないらしい、胸は規則正しく上下し、眠っているようだった。あれだけの酒を一気飲みしておきながら、弱いのか強いのか、いまいち分からなかった。

沖田は神楽を抱かかえたまま、そのまま店を出ようとする。その肩を浅野が掴んだ。振り向くなり、沖田はその殺気を浅野へと叩き付けた。完全に瞳孔は開いており、まるで、こ俺に触るな、こいつに触るな。そう言ってるようだった。しかし、どこまでもずうずうしいのか、もしくは、この様な修羅場慣れしてるのか、もしくは単に神楽を沖田に取られたくないのか、ともかくその肩の手を退かそうとはしなかった。

「その娘を一体ェ、何処に連れていくつもりだ。てかその手をどけろ。介抱するなら俺がやる。」
沖田は、面倒くさそうに、視線を一瞬宙へと泳がせた。そして、口を開く。
「見え見えの下心全快野郎に誰か渡せるかよ。」
「何?お宅もこの娘に一目惚れかナンかか?」
浅野の挑発的な言葉に思わず沖田は本音が出そうに、なる。しかし、近藤は唖然と座ったままの、この義正に自分は心に決めた人が居ると既に言ってある。出しかけの言葉を飲み込んだ。

「ちげェ。でも、おめェみてな男に渡すとろくな事がねェ。」

「だったら、僕がか、介抱します!。」
沖田、浅野、共に、振り向く。そこには、しっかりと立ち、自分達を見ていた。いやいや、この状態はあまりにもやべェと銀時が口を挟んだ。この際仕方ねェ。と。しかし沖田は銀時にも神楽は渡さねェと言い張った。オイィ!銀時は声を張った。お登勢と、なじみの客はなんだよ煩いねェと若干気にしたが、基本若い連中の事には、野暮だからと口をださない主義のお登勢。途中から無視をした。

店の真ん中、神楽の取り合いになる。沖田は神楽と抱かかえたまま離そうとはしない。いいから離せって!銀時は言う。嫌でさァ。沖田は誰がやるかと神楽を抱いたまま離さない。俺が休ませるからと浅野は言う。酒の入っている義正は若干強気で僕が神楽ちゃんを介抱します!と沖田に詰め寄った。

基本、既に酒のまわったいい大人。もう何だ、俺ァ知らねェよ…。土方は遠い目をさせた。その土方の肩をぶんぶんと近藤は振りながら、何とかしてくれと涙目、百合と椿は一人の女に何故、こんなに男が群がっているのかと、心底面白くない表情をさせた。特に椿にいたっては、あれほど、自分とのキスに表情を動かさなかった男が、一人の女を抱き、離さない。馬鹿にされている様な気がしてたまらない。

引っ張られ、揺さぶられ、神楽は揺れる、揺れる、動く…。
「やっぱり、貴方も神楽ちゃんの事がすきなんですね!」
もみ合いの中、義正は銀時に聞く。ちっげェェよ!銀時は口を三角に叫ぶ。続いて沖田にも突っかかった。
「沖田さん!何故そんなに神楽ちゃんの事にムキになるんですか!貴方大切な人が居るって言ってたじゃないですか!やっぱり神楽ちゃんに一目惚れしたんですね!?」

義正は酔いが回ったように、ユラユラ揺れながら、頑張って焦点を沖田に合わした。
「だから違げェ!この女はどうでもいいがなァ!ただ俺はっッ!!」
酔いに引っ張られ感情が高ぶった。

「ただ俺は…何…ヒック。何アルか…。」
へっ!?
男は思わず男に抱かかえられている、その女にへと視線を落とす。
四人の男が囲む中、頬を赤く染め、涙目、うつろ目、焦点はあっていない。が、なんとも色っぽい表情で男達を見ていた…。


……To Be Continued…

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