act 1

「―――っ総悟…こんなの嫌アルッ…。」

夕刻、神楽はチャイナ服をシーツの上に這わせ、もがく様に体をくねらせた。
透明がかった滑らかな肢体を沖田はゆっくりと寝かせ、おでこにちゅっ。音を鳴らす。そして下唇をかみ締める神楽を見下ろすとたまらない様に口元をあげ笑った。

そんな沖田の貌を神楽はキッと見上げる。
「たまんねェな。その貌…。」
そう言うと沖田は細い縄で神楽の腕を頭上で重ね締めた。
神楽は嫌がるそぶりを見せながら、何回も懇願するように沖田の名前を呼ぶ。

嫌だと言う神楽のその唇に沖田は自身の唇を重ね、その言葉を溶かした。舌を沖田は絡ませてやると、瞬く間に神楽の目はとろけ、鼻から高い息を漏らした。

右から、左から、酸素さえ取り込ませないその執拗な愛撫に神楽の交差された手はギリギリと音を立てた。
「いい子だから大人しくしてなせェ。」
そのまま沖田は自身の隊服のスカーフをしゅるしゅると外す。
そしてそれを、いやいやと首を振る神楽の目に巻きつけ、シーツの上にと寝かせた。目が見えなくなった神楽はキョロキョロとその空虚を見る。頭上で縛られた両手をぎりぎりとし、その両手を沖田はやんわりと覆い、その場に縫い付ける。

「何で毎回ッ…嫌アルッ…。」
其処に居るだろう沖田の姿を捉えるように、目隠しされたまま、歯をくいしばる。
「嫌っつてもなァ…。」
そう言うと沖田の手は躊躇もなく神楽のチャイナ服の隙間に手を這わす。びくっと撓った神楽の体を自身の体で押し付けるようにし、容易にその場にたどり着く。すると沖田の中指の腹に湿った生暖かさが感じられ、沖田はにやりと笑い、神楽の耳もとに近づいた。

「もうココ、濡れまくってんぜ?」
神楽の貌はくしゃりと歪み、ますます下唇を強くかみ締めた。
しばらく其処を中指の腹で弱く強く擦りつける様にすると、その手の動きに合わせ、音が漏れた。
神楽は貌を逸らし、太股を閉じようとした。
が、それを沖田は許さないとでも言う様に神楽の足の間に座り込み、その力を一層弱く、強くと弄ぶ。
神楽の貌は淡く火照り、その口からは浅く、早く、呼吸が繰り返される。そんな神楽を沖田は満足そうに見つめ、。一気にその中へと指を滑り込ませた。

刹那、神楽の体は跳ね上がった。沖田は更にたまらなそうにその光景を見つめる。
中指に、トロトロと巻きつく様に絡みつくそれをワザと音を鳴らしながら刺激した。
「やっべぇな。濡れまくってらァ。淫乱…。」
沖田は黒く笑う。神楽は両手を隠された目の上で重ね、関係なく弾く自分の体をうらめしく思った。

しかしそれは、沖田の愛撫だからこそで―――。

....
付き合って結構な日が経った自分達。
普段はなんら変わりはないが、近頃の沖田はセックスの度に毎度この様な事をしたがった。
手を縛り、目を隠され…。初めこそドキドキとしたが、しかし視界を隠され、沖田の貌も見れず、まるで遊ばれる様に行われるこの行為が神楽は嫌で仕方なかった。だが、体は正直に反応する。

相手は沖田、どうあがいても好きなのだ、体が反応するのは仕方がない。しかし、どうやら沖田はそれを勘違いしたらしく、神楽も自分と同じ性癖の持ち主と思っていた。
行為はどんどんとエスカレートしていき、愛の言葉を囁かれるどころか、半分陵辱に似た行為にもなっていた。

力ずくでやめさせても良かったのだが、それはやはり惚れた弱みと言うやつで強く反抗できなかった。

初めての沖田は、チョコレートが甘く溶けて行く様に甘かった。
そっと自分の体を開き、気遣い、視線を交し、唇の温度を感じ、何もかもが嬉しかった。言葉なんてなくてもその手が教えてくれた。
言葉なんて聞かなくても、その感触が教えてくれた。

好きだと、大切だと…。
なのに今の沖田は、そんな形を、影まで溶かした。
何とかしたい…何とか…考え神楽はその口を開いた。


「―――ッ銀ちゃん…。銀ちゃん…。もっと、もっと銀ちゃんを感じたいアル。」
沖田は思わず耳を疑った。
瞳は暗くかげる。この沖田が、日ごろから、どうしても銀時と神楽にやきもちを妬くことは、神楽自身知っていた。
正直、そんな心配されるような事はない。全く持ってありえない。
しかし、今の沖田には十分効いた名前だった。

沖田は、思わずその中で暴れさす指を引っこ抜き、糸をひくまま神楽の顎を掴んだ。
「オメー今なんつった?」

歪んだ沖田の貌。神楽には伝わらない。
神楽は、口を開く。ごめんね、まちがった。なんて台詞は出ない。
いや、出たとしても、沖田はキレていたに違いないが…。
神楽の小さな口から声が、甘く漏れる、甘く、甘く、甘える声が…。

「早く…早く銀ちゃん…銀ちゃん…。もっと、もっと触ってヨ…。」



……To Be Continued…

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