act 3

「オイ、雅、今日ちょっと買い物に付き合ってくんねェ。」
「いや。」

僅か、一秒。隼人からかけられた会話は終了した。
只今放課後。今日二本目の午前の紅茶を飲み、一旦ちゅっと口から離し、一言言って、また飲み始めた。
黙々と鞄を持ち、後ろの席の寧々を振り返る。すると、寧々も今まさに、同じ台詞を蒼に言われたトコであり、
断るにもその言葉が中々言えず、困っているトコだった。
俯き固まっている寧々の手を雅は取る。そして顔を覗き込み、微笑んだ。
すると、寧々は安心したように俯く顔の中、微笑んだ。
雅は顔をあげる。

「あたしが寧々の帰るの!だから駄目!」
「何が駄目!でェ。オメーには聞いてねェよ。」
「蒼も、隼人も別の子連れてけばいいじゃない。ただでさえ二人とも目立って一緒にいるだけで睨まれるのに、一緒に帰るなんて絶対いや。」
あっけらかんと雅は言った。そして、寧々の手を引いた。その雅の手を隼人が、寧々の手を蒼が、それぞれ掴んだのだった…。

.......

「寧々、これ可愛いよ!ね!そう思わない?」
「はい、とっても可愛らしいです。でもこっちのリボンの方も…。」
「本当!でも、あっちにも靴があるんだ。ねェ、行って見ようよ。」
寧々は嬉しそうに頷く…。
デパート、店内。
そんな二人を、ベンチに座って項垂れるように見る男、二人…。
寧々と雅は、可愛らしい靴、そして服、コスメ。帽子…。次々と店を替えては選んでいる。

ちょっと、待て…。そう言った隼人、蒼の話。
『妹の進級祝いのプレゼント、一緒に選んでくんねェ?』
二人して、顔を見合わせる。雅は主導権を寧々に預けた。ぐいぐいと引っ張っていくタイプの雅だったが、毎回、どんな時でも寧々の意見を尊重した。そのおかげか、少しずつ寧々は雅にだけ、自分のいいたい事を話すようになっていた。寧々は、ちょっと考えた。が、顔をあげた。
「いいと、思います。」
雅は笑った。自分にだけ向ける微笑が堪らなく嬉しいと。
「寧々がイイって!仕方ないから行ってあげるね。でも、妹ちゃんの為だからね!あっ、後、女の子たちから絡まれたら、金輪際二人と話さないからね。」
きっぱりと雅は言い捨てた。

本当は、ちょっとだけ期待した、自分と、それぞれ、雅、寧々。二人で選べないもんかと。
しかしどうだろう。完全に二人の世界に入ってやがる。これじゃ意味ねェじゃねェか…。
二人は思う。蒼、隼人。それぞれ、自販機で買ったカフェオレとブラックコーヒーを口につけた。
寧々が、恥ずかしいと、自分達と話さないのはまだ分かる。それでも時々顔をあげ、話す時などは、思い切り蒼のココロを揺さぶった。雅は、必要ない時隼人と蒼と絡むのを嫌がった。
例えば、そう。今見たく放課後。いくら授業中や休み時間一緒によく話しているにも関わらずだ。
二言目には、女の子の視線がいや。いや、いや。あっちいって。ずばずばと隼人に悪びれもなく投げつけた。

言い訳ではないが、蒼と、隼人は、あの日、雅と寧々にあってからは、たったの一度も、女と一緒に居たりする事もなければ、女の子と、そう言う事をする行為もしていない。三年にあがってからは一度も。だ。
しかし雅や、寧々の二人にたいするイメージは、相当なものらしい。特に雅。自分はともかく、寧々にその視線を叩きつけられる事を激しく嫌がった。
正直、何かに理由をつけ、誘ったのは、蒼も、隼人も今回が初めてではない。それを悉く断られた。
初めてだった。どちらともが。本当に初めての経験だった。自分が断るならともかく、自分が断られる何て信じれなかった。
自惚れてる?確かに。ただ自惚れるだけの事はあった。
そんな二人の誘いを断り続けた二人が、やっとOKをくれた。いや、断じて妹をダシに使ったわけではない。ない?
とにもかくにも、ようやく連れ出せた訳だが、どうだろうこの仕打ち、完全に無視ときている。
ありえねェ。いや、マジで。断じてありえねェ。
さっきから絶え間なく女が群がってくる。もうすでに断る言葉さえ面倒くさくなってきた。

初めての置いてきぼりに、半ば拗ねている二人に、やっとこさ二人が戻ってきた…。



……To Be Continued…

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