act 1

「世の中も、物騒になりやしたねィ。まだ年も行かない女が身売りたぁ」
「あぁ。しかも自分からだぞ。考えられねぇよ」
「その娘を買う男も男ですがねィ」

「ったく。反吐が出そうになるぜ。」
「所で、ココらが本当によく身売りするとやらの場所なんですかィ」
「あぁ、よく見かけるだとよ。それらしき男か女見つけて、吐かすしかねぇだろうなぁ」
「ヘイヘイ・・・」

午後8時。人通りの激しい公園、土方と沖田は身を潜め、ジッと周辺の様子を伺う。
3日前ほど、近頃、よく年もまだいかない女が、自分の体を金額に応じて売っていると言う通報が入った

それは、10代の女の子にはやっているもので、その女を、金さえ払えば抱けると言うおいしい話を男達は知り、たちまち広まり、女を買い,女は、見たことも無いような高額な金が手に入るということで双方が納得し、行為に及んでいた。

しかし、当然の事ながらそんな事は禁止されている。何とか取り締まってほしい。自分たちの子がそんな事をしていないか、親は気が気じゃないらしい。そこで、今回この二人が借り出された

とは言え、なんせ人通りが多い。中々見分けるのは困難だ。それでも様子をうかがっていた沖田が口を開いた
「土方さん。あれ・・違いやすかねィ?」

沖田の視線の先には、パーカー生地のワンピースで、その女はフードを深くかぶっている。そこに、一人の男が近づいて来た。

ここからでは、あまり様子は分からない。しかし、これ以上近づくことは出来ないので、様子を見る。男は女の横に座る。女は警戒しているらしく、少し離れた。
男は、指で3本を指している。その時点で、二人は、来たなとピンと来るモンがあった。しかし、まだとりあえず様子を見る。

女は、男と話をしているらしい。顔を下に向けながら、首を振る。すると男は、女に話しながら指を4と表示した。しかし、やはり女は首を振る

女の方はともかく、男の方は手馴れているため、男を捕まえ様と、二人はゆっくり動く。しかし、沖田と土方は動きを止めた。

男は何かを話しながら、手のひらを大きく広げ、その手を5と表示した。つまりは5万。女は男を見上げ、ゆっくり頷き、立った。
男はよほど嬉しかったらしく、女の手をギュッと握り、引っ張って行く。

土方は、沖田に目で合図を送った。そこで二人はすばやく出て行き。先ほどの二人に近づく。
すると二人は気がつき、女はすばやく手を離し、ものすごい速さで男から離れて走っていく。
「総悟ォ。行け!!」

土方の声が響く

「分かってらィ!」
男も逃げたのだが、恐怖の新撰組。逃げられないと速度をすぐに落とし、うな垂れていた。

沖田は、逃げた女を追って走る。
(この女、何気に早いじゃねぇか)

走りながら、沖田は感心する。足の速さには自身がある。とりあえず負ける気はしない
しかし、前を走るこの女。沖田に引けを取らない速さ。もの凄い速さで、路地にスイスイ入って行く。
負けられるかと沖田はスピードを上げた。半分意地も入っている

かなり走っただろうか・・さすがに女も息を上げているようだ。だが、沖田には日々の訓練で体力にも自身はあり
さらにスピードを上げる。
距離はちぢまっていき、とうとう女の方にすばやく手をかけ、フードを引っ張った

フードからバサリと髪が落ちる。サラサラの長い桃色の髪。女の体にしなやかに揺れる。腰までの髪は大きく乱れ
やがて落ち着く。沖田は信じられないような物を見たような目になる。
自分の瞳に移るそれは、考えられない事だと一切を否定する。言葉をうまく発することさえ出来ない。
いつも淡々と動作をこなす沖田からは考えられないほどで、しかし、それほど、動揺していた事を現していた。

「チャ・・・・チャイナ・・・」

今だその女は自分の方を見ない。しかし桃色の髪にスラッと細いからだ、白い肌。近くで見ればすぐに分かった
ドクドクと音を鳴らす心臓を、深呼吸をする事で落ち着かせ、いつもの態度に何とか戻すことが出来た
「何してるんでィ」

「・・・・・・・・・・・」

「オメ−自分が何しようとしてたか、分かってやがんのかィ?」

相変わらず、神楽は自分の方を見ない。沖田が動揺し、パニックを起こすかなり前から、神楽の頭は思考回路がぐちゃぐちゃになるほど回り、自分が何をしようとしていたかさえ分からなくなっていた。


……To Be Continued ……







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