最終話
何でOKしちまったのかねィ・・・
沖田の家。床に体をはべらせ寝ているのは、言うまでもなく神楽だ
ワンピース・・・素足がそのスカートから流れるように伸びている
その姿を見ながら沖田は思う・・・・・
先日の口約束・・・。
たかだか口約束だが、破るわけにもいかない。手を出せば、神楽の事だ。本気で別れると言い出しかねない
表面上は、普通だ
一緒に買い物に行くし、大学だって、一緒にランチを食べるようになった
お妙は、良かったねって言ってくれるし、その横で近藤が、良かったなと言う
土方は、やっとくっつきやがったとため息混じりに微笑んだ
お互いの家には、しょっちゅう遊びに行くし、喧嘩だってよくする
そんな時は家に帰って、泣いて、怒って、仲直りした
思いはドンドン膨らんでいく。その気持ちと比例するように、やっぱり自分の腕の中で彼女と眠りたいと考える
朝起きて、隣に温もりがなくて寂しいのは、本当はどっちも一緒だった
実は、こう言う思いは、コレが最初ではない。
あの約束した直後から、幾度となくそんな思いにかられる
しかし、隣同士の部屋なのは分かるが、実際自分がいつまでモツか分からない
しかし、神楽の許可が出るふうは無い・・・ため息ばかり付いていた
正直神楽の中でも、それは手に取るように分かっていくようになる
無防備な自分が、、どれだけ男に我慢させているか・・
本当は、シテもいいかな?って自分と、ヤッタ時点でその他の女と一緒になりそうで、その心はいつも揺れていた
しかし、触れたいのも事実・・・キスだって、本当はもっともっとしたい。でも我慢させてるのをしってるから、中々踏み切れない。ふと沖田の言葉を思い出す・・
『そんな思いを断ち切るほうが不自然・・・』
今になって妙に納得した自分が居る
しかし、自分の中で頑なに、葛藤し、拒んでいる自分も居るわけで・・・
そんなうやむやの中、夏が来て、熱い太陽から逃れながらもその季節を楽しみ、秋が来て、その落ち葉が舞う季節に、神楽の胃袋がさらに大きくなったと沖田はげんなりし、冬が来て、雪が舞うその季節に、二人の寄り添う距離は、より縮まった。
季節が巡る事に、どんどん思いは膨らむ、それをもっともっとあっためていく
そうして道を歩いてきた二人に、二度目の春が訪れた
「ぶはっ!なっつかしいアルナ〜」
思わず神楽の顔は緩む、偶然自分の手の中に落ちてきたモノ
それを、一枚・・また一枚とめくっていく・・思わず声をだして笑って、かと思えば柔らかく微笑んで・・
目を細め、懐かしさの余韻に浸る・・・
「オイ。カメラあったの・・・何してんでィ・・」
ネクタイをしめながら、部屋にやってきたのは、勿論沖田だ
「懐かしくて・・コレ・・」
神楽が微笑むと、同じように懐かしむような目でそれを視界に入れる
「確かにな、だが今は時間がねェだろィ」
「分かってるアル・・新婦の弟が遅刻なんて、笑い話にもならないからナ」
よっと神楽は立ち上がる。帰ってから又見ようとページはそのままに・・
服の皺をのばし、どう?と沖田に聞く。すると、沖田は柔らかい笑みのみ見せる
ぶぅぅぅっと声に出し、ちゃんと言ってくれないと分からないと拗ねる
その大きく膨らんでいる、小さなホッペに人差し指をぷすっとたて、中の空気を抜いたところで、神楽の耳元に近づく
途端、そのホッペの色は赤く染まる。
そんな神楽の手を繋ぎ、外に出る・・・・
春の風がそよそよと部屋の中にも舞い込む・・
その風は、床に開いてある、ページをめくった
その中には、近藤、土方、沖田、妙、神楽、そして、この日初めて紹介された、沖田の姉兼、土方の大切な彼女としてミツバが映っている・・・
その模様は、お鍋を取り合う壮絶なシーンと化しており、その写真の横のコメントスペース欄には、神楽様こそが鍋将軍アルーー!!
と書かれていた。
また風にページをめくられた
神楽が白いシーツの中に素肌を包ませ、スヤスヤと、その桃色の髪を、同じ白いシーツの中に流されていた
その寝顔を収めている。その下には、その神楽を、同じく素肌の沖田が包み、不敵な笑みを浮かべ、カメラ目線で笑っていた・・・・
その横のコメント欄に、祝!!初えっち〜〜と沖田の字でかかれており、さらにその下に神楽の字で大きく、シネ!!
と書かれている事で、内緒で写真を残し、それを神楽に見つかってひと騒動あった事が読み取れた
そして、ふわりと風が舞い、またページがめくられる
しかしそこには何も写真がなくて・・・
「ねェ・・ミツバ姉・・きっと綺麗アルナ」
「当たり前ェだろィ。」
「ぶぅぅ・・・一番アルカ?ミツバ姉が・・一番」
「はっ。ばかだろィ。本当にばかでさぁ・・・」
顔を赤くし、前をずんずん歩く神楽の後を小走りで追いかけ、その小さい肩を、後ろから捕まえた
恥ずかしさのあまり、下唇をきゅっと咬む神楽の耳元で、囁かれる言葉・・
「一番はーーーーーーーー」
二人のを包むように突風が舞う
神楽の髪は、ふわふわと舞い上がり、その風は、部屋の中にも入ってくる
バラバラと高スピードでめくられていく・・アルバム
そして、一番後ろのページで終わりをつげ、落ち着く
そこに居るモノ・・・・
ティッシュでチーンと鼻をかむ銀八。
その横で、微笑むミツバ。近藤、お妙、
そして、ティッシュが無くなり、土方のスーツで鼻をかもうとし、オイィィィィと怒鳴る土方の姿
その真ん中で
真っ白の純白のドレスを身にまとい、少しはにかんで、それでも嬉しそうに微笑む神楽
その隣には黒のタキシードをまとい、少しはにかんで、嬉しそうな彼女に、微笑む沖田
「誓いの言葉・・・今も言えるアルカ?」
「何べんでも言ってやらぁ・・・」
アルバムのコメント欄
貴方は生涯愛することを誓いますか・・・・・??
「ちかいます!!」
「誓います!!」
…FIN…
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