act 12

ガチャリと音がする。
いつもなら、ここら辺で何か声がするはずだと、沖田は不振に思う
昼間の事を、気にしているのか?でも、それならいちいち、破壊音を立てる必要が無いのではないか
そろりと、部屋の中に入る。視界に桃色の髪の毛が入る
座っているようだ。自分が部屋の中に入ってきているというのに、この反応の無さ

首をかしげながら、神楽を覗き込んだ

神楽の視界の中に沖田の顔が入る
何も言葉を発しない。その代わりにゆっくりと手が伸び、沖田のTシャツを弱弱しく握った
その手は、小刻みに震えている

「どう・・かしたのか?」
沖田も神楽の隣に腰を下ろす
手に握られている紙。それをゆっくりと取ろうとした

「な、何でもないアル!!」
正気をを取り戻した神楽。自分の目の前で、くしゃくしゃにする
どう見ても様子がおかしい。

「何でも無いって、面じゃねぇだろうが」
くしゃくしゃの紙を神楽から取り上げようとする
「何でも無いって・・・」
手を頭上にやって、沖田から遠ざけようとするが、失敗に終わる
簡単に取り上げられる紙。

「な!!」
顔色が変わった
神楽は、沖田から視線を反らす

「おま、何だコレ?!いつから?!」
顔色が変わった状態で、神楽に詰め寄る。いつもの表情とは違う。にやにやとする表情。意地悪な表情。イタズラな表情。とどのつまり、似たような表現ではあるが、つまりは神楽を不快にする様な表情ばかり・・・

だが、目の前の沖田は、余裕なんて無い。少しイラついた様な、怒ったような、そんな顔

「い、痛っ。私だって・・分からないヨ・・」
相変わらず視線は伏せたまま。

「だから呼んだのか?!」
先程の破壊音。恐くなって呼んだのかと、神楽の顔に視線を巡らせる
「ち、ちが・・ベランダに・・」

言い終わるが早く、沖田はベランダに足を向ける
勢いよくベランダの戸を開け、辺りの周辺を何度も見る
だが、もう誰も居ない。部屋の中に居る神楽に目を向けると、俯いたままだった
急ぎ足で、神楽の元に行き、ぐいっと手を引く


「とりあえず俺んちに来い」

へっ?と見上げる神楽を他所に、無理やり手を引っ張る
カフェテリアで、火傷した時に、引っ張られたように。
自分の周りに、又、ふわりと沖田の香が纏うのが分かり、何とも言い知れぬ気分に襲われた



……To Be Continued…

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