act 10

「神楽ちゃん、大丈夫?!ごめんなさい・・私があんな事言ったから・・」

キッチンから出てきた、神楽と沖田にすぐさまお妙は駆け寄る
沖田は、あんな事?と聞くが、慌てた神楽が、その会話を中断させた


「お前、手ぇ大丈夫だったか?」
わたわたしている自分に話しかけてきた。コレは好都合と、返事をする

「う、うん、ってお前誰ネ?」

首をかしげる神楽
そこに居たのは、土方、山崎、近藤だ。三人は、簡単に自己紹介をする
知り合いが出来たと、神楽は大喜びをした

「おい、神楽。近藤さんはともかく、後の二人は別に覚えなくてもかまわねぇ」
すっぱりと言い切る沖田に、ちょっとぉぉぉ!と叫ぶ山崎の声と、オイィィ!と叫ぶ土方の声
思わず、神楽と妙は、くすくすと笑う

笑う、二人に視線は向けられる。周りの男。ひがんだ女

「はじめましてアル。神楽と言うアル。隣に居るのが・・」
「お妙さんですねぇぇ!」

近藤が横槍を入れる。その刹那、妙の冷たい視線が降り注いだ

「ふふ・・横槍をする人間なんて・・死んでしまえばいいのに・・」
笑って話すお妙が、逆に恐くて、神楽も顔を引きつらせた

笑って話している神楽の隣で、不機嫌になる沖田を見て、土方はため息を付いた
特に、山崎とは、気軽に話せるらしく、意気揚々と話しこむ。沖田の逆鱗に触れている事に全く気付かない山崎
もくもくと、黒いオーラを出す沖田を見て、山崎と、近藤を、もう飯も食ったし、行くぞと促す

沖田も神楽の手を引く
「ちょ、待つアル。何処に行くネ。私まだご飯・・」
「そんな手で食えねぇだろうが。医務室いくぞ」
沖田は、一瞬妙に視線をやる。妙は、何もかも分かっている様な目で、にこっと微笑む
何となく、妙には、敵わない・・そんな気を起こしながら、廊下を歩いた

........


「手ぇ、見せやがれ・・」
向かい合わせに椅子にすわる。優しく神楽の手から氷を退かす
神楽の手は、思ったとおり、くっきりと跡になっていた。すぐに冷やせばまだ良かったかもしれないが、放置していた所為もある。沖田の触れる、手が、また熱を持ち出した

(何で?何か変アル・・)
ドクドクと鳴る心臓に、若干パニックになる

「だ、大丈夫ヨ!もう行くア・・」
反転し、椅子をたつ神楽の腕を掴む

「この間のキスの事だが・・」
ひゃっと、心臓が跳ねる
こんなの変。何か嫌。おかしい・・絶対おかしいアル!!
心臓の前で、ぎゅっと手を握りしめる

「あ、あれ?も、もう気にしてないヨ。だからお前も忘れるアル!!」
早口でまくし立てて、医務室を飛び出し、そのまま全力で走る

何で逃げてるの?何で顔が赤くなるの?なんで、こんなに心臓の音が大きいの?!
ぶんぶんと首を振りながら、駆けて行った

「忘れさす訳ねぇだろィ」

ガシャンとシンクにばら撒かれた氷
沖田の手からは、ピタピタと雫が落ちていた


……To Be Continued…

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