act 7

「んあ〜!やっぱり一人暮らしは最高アル!」

ダンボールが山積みだった部屋は、少しずつだが、確実に片付けられていき、今では立派な部屋へと変わっていた
絨毯の上に寝転がり、う〜んと背伸びをする。
キチンと片付いた部屋。心身ともにリラックスを決め込む

台の上のココアと取って、すする。ちょっと熱かったらしく、すぐに又台の上に戻された

着信音が鳴った
神楽はあからさまに嫌な顔をした
「又、あいつアル!!もぅ〜しつこいネ。」
沖田専用着信音、間違って出ないようにとの防止策だった
「何考えてるネ、あいつ。私は遊びになんて付き合ってられないアル!」

そう言うと、携帯電話をクッションの下に置き、音を塞いだ
しばらく鳴りつづけていたが、やがてピタっと止まった

やれやれと神楽は、ふぅと一息ついた
沖田は、しょっちゅう電話をかけてくる
初めの方は、神楽も携帯を取っていた。しかし、取った所で、特に用事があるわけでもなく、一体何のためにかけてきてるんだと思うようになって、取るのを止める。
それでも、やっぱりかかってくる
そ知らぬふりを決め込み、テレビをつけようとした瞬間、隣の部屋から、ガチャリと音がした

何となく嫌な予感がする。そしてそれは的中した
チャイムの音と共に





ガチャリ・・・

「何アルか?」
うっとうしそうな面で出迎える。
勿論戸口には

「何でお前が不機嫌な顔をしてるアル。したいのは、私の方ヨ」

「何で電話をとらねぇんでィ」
やっぱりこの質問。
肩を落とす神楽

「何を話す必要がアルネ?さっぱり分からない・・オイ!ちょっ・・」
神楽の言葉を無視し、沖田は部屋へと入っていく
その後を、慌てて神楽は追いかけた

「なん、お前出てけヨ!女の子の部屋には入っちゃいけないアル!」
「ここの部屋に入ったのって、俺だけ?」
クルリと向き直り、神楽と向かい合わせになる

「銀ちゃん」
又銀ちゃん・・。
沖田は不機嫌な面を更に大きくさせる

何をするわけでもなく、ソファに寝転がった
「おま!いい加減にするアル!」
もくもくと湯気を沸かし、怒る神楽を物ともせず、寛ぐ沖田

「そのココア。俺にも作ってくだせぇ」
そういって指を刺したのは、神楽がすすっていたココア
こらぁぁ!!いいかげんにしろと怒鳴る神楽だったが、あまりにもひょうひょうとする沖田に脱力し、怒る気も失せ、ココアの準備をし始めた
その後姿を、沖田は自分でも分からなかったが、ある類の視線を向けていた。
カチャカチャと食器の準備をする。
そして、ホラと持ってこられたココア。
優しく微笑みながら笑う沖田に、思わず神楽はドキリとする

それ飲んだら、すぐに帰れよとの言葉に、ヘイヘイと沖田は答えた
先程まで、寛いでいた自分の部屋だが、どうにも緊張が走る
それもコレも、この男の所為だと睨む。さきほどまでの微笑みは消え、睨む神楽に向けられたサド笑い
ベーと舌をだし、自分の世界に入ろうと、テレビを付けた

何も言葉がない空間。話す訳でもない
一体この男は何を考えてるのだろう・・テレビそっちのけで、どうしても意識が言ってしまう
同じ男なのに、銀ちゃんの時とは違って、何か変な気持ちになる・・なんて考えてた


「っつ!!」
声に驚き、自分の考えをシャットダウンさせ、沖田の方を振り向くと、ココアが手にかかっていた
ポタポタと、手から滴るココア。熱湯過ぎたかと神楽は焦る
口も手で覆うところを見ると、舌も火傷したらしかった
急いで、神楽は水を汲み渡す
赤くなる手。何度も火傷はしたことはあるが、あれはじくじくと痛む
大嫌いな痛みの一つだった
大丈夫かと、不安そうに、沖田の顔を覗き込む

その目にやられる。
自然に、神楽の腰に手は回っていた
「え?何?っんぅ・・・」

一回り広げられた大きな瞳
沖田の火傷した口内が、ダイレクトに神楽へと伝わってくる
今しがた火傷をしたばかりの舌が、くにゅと神楽の舌に纏わり付いた
「っんぅ〜〜ん〜」
離せと、肩を押すが、その両手は掴まれた
ビクともしない。暴れた所為で、テレビのリモコンを踏んでしまう
テレビの音量がどんどん下がる。静かになった神楽の部屋で
神楽の舌を貪るくちゅくちゅと言う音と、初めてのキスにどうしたらいいか分からない神楽の甘い吐息だけが響いていた



……To Be Continued…

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