act 4
ゆっくりと瞼を開ける・・窓からは光が漏れている
ガバッと神楽は起きた。慌てて時計を探す。無い。あるはずがない。何処に入れたかなんて覚えてない。しかも携帯・・。それは奴の手に・・。テレビなんて問題外。山積みのダンボールの中
神楽は、壁に向って大声で叫んだ
「何時アルカ〜〜!!」
叫んだ直後、すぐに自身の体をピタッと壁にくっつけ、隣の反応を聞く。しかし音は無い。今度はドンドンと叩く
そして、又さっきと同じようにピタッと耳をくっ付ける。でも聞こえない
もし、もし今の時点で遅刻だったら・・
考え、意を決して、神楽は自分の部屋を出て行き、沖田の部屋のノブに手を掛ける
そして、それは簡単に開く。そろりそろりと入って行く。
とりあえず、とりあえず時計・・。
目を凝らして探す。すると、それはあった。沖田はと言うと、大きなダブルベットに一人ですやすやと眠っていた
あれだけ大きな音をだしても起きないなんて、一体どれほど熟睡してるんだと呆れ、ゆっくり沖田の頭上にある時計を
覗き込んだ
「うぎゃっ!!!」
色気なんてない、まるで猫がシッポを踏まれたときの様な声をだす
寝ていた筈の沖田に、ベットの中に引きずりこまれたから・・・・
神楽のパジャマ姿を薄笑いを浮かべながら見る
咄嗟、首元を隠す
神楽を下に、沖田は見下ろすように、ダブルベットの布団に包まる。神楽は驚きのあまり声が出ない
沖田の様子はと言うと、とても、たった今起きた様な目ではなかった。してやったと言う様な瞳
神楽を下に、にやっと笑うと、沖田の顔は、そのまま下に落ちて・・・
「ふざっけんな〜〜!!!」
神楽の鉄拳が沖田の頬にクリーンヒットした
ごふっと飛ばされ、頬を擦りながら起き上がる
「お、お前起きてたアルカ!!」
「あ〜?あんなでかい音と、でかい声で起されりゃ、起きない方が不自然だろィ」
やっぱりあの時、起きていたのだ。時計がない事を知り、携帯は自分の手の中、。十中八九。此処に来る。そう踏んだ
怒りをめらめらと燃やす。
今にも、もう一回飛び掛りそうな神楽。ではあったが、時計!!と気付く。すぐさま反転し、ベットの所にある時計にダシュした。時計に表示されている時間を見て、はぁぁ〜〜とため息を壮大に付く
まだ、全然焦る時間ではない。ベットに腰掛、良かったぁと肩を下ろす
そして、又思い出したように、Tシャツと、ジャージ姿の沖田にズカズカと行く
「携帯!!返すアル!!」
ぐいっと掌を沖田に突きつける
「何のことでさぁ。俺は何にも知りやせんぜ」
ひょうひょうとする沖田
「嘘つくなヨ。隠したんダロ?!」
「しらねぇって言ってんだろィ。俺を疑ってんのかィ。ひでぇや」
にやっと笑う。しかし、その笑いがどんなつもりの笑いなのか、昨日あったばかりの神楽に分かるはずが無い
やっぱり、何処か落としたんだろうか・・筋違いにコイツの家に乗り込んで、朝っぱらからたたき起こしたとしたら・・。途端、神楽は不安な表情に切り替わる
「ご、ごめんアル。朝っぱらから・・」
素直に謝る神楽に、不覚にも可愛いと思ってしまった
いや、可愛いと思ったのは、会った瞬間からだった。こんなに自分から行動を起こすのは、初めてだった
しょぼんと背を向ける神楽。トコトコと玄関に向っていく
「かぐら」
昨日の今日で、もぅ自分の名を呼ばれて、思わず振り向いた
そして振り向いた瞬間に、自分に飛んできてるのは、紛れも無く自分の携帯
おっと、と何とか落さずキャッチ出来た
「のわ〜〜〜〜!お、お前やっぱり〜〜!!」
ぐお〜と言う音を立て、怒る神楽の耳に、着信が鳴り響く。急いで携帯を見る
画面を見てみると、そこには
「総悟」の文字。
「俺の番号入れといたから。いつでもかけてきやがれ」
黒い笑みを浮かべる
「だ、誰がかけるか〜〜!!」
ふざけんな〜〜と怒りながら、又、どすどすと部屋を出て行く神楽
「こっちからかけるから、別にいいですがねィ」
と、自分の携帯のストラップを持ち、ブラブラと揺らした
……To Be Continued…
作品TOPに戻る