act32

「銀さん、まだ半年だって言うのに、とうとう神楽ちゃん、一人暮らしになっちゃいましたね。」
辺りの日は、とうに落ちた。赤いマフラーと青いマフラー。雪が、ちらほら振るなか、新八と二人、銀時は歩いていた。手には重くのしかかる買い物袋。銀時は、何で俺がこんな事っ!そう、ぶつくさと言っていたが、新八の言葉を聞き、一瞬の沈黙の後、口を開いた。

「ハゲが言いっつったんだ。俺は何もいわねェよ。」
銀時は白い息を吐きながら、遠くを見つめた。横目でそんな銀時を見ながら、新八は少し笑みを見せ、口を開く。
「まったく、あの時はどうしようかと思いましたよ。絶対沖田さん殺されたかと思いましたよ、僕。」
新八の白い息が空気に溶けた。銀時は思い出した様に笑った。
「確かになァ。ありゃぁ、ぶっちゃけ俺もビビッた…。」
銀時の息も又、同じように吐いた後、柔らかく空気に溶けた…。



.......

「銀ちゃん、銀ちゃん、銀ちゃん、銀ちゃん!!大変アル!」
ガラガラと玄関の戸を開けると同時に神楽が銀時の名前を連呼しながら入ってきた。そのままソファの上、仰向けでジャンプを読んでいる銀時の腹へと乗った。グェっと言う鈍い声を銀時は出し、ため息を付き、読みかけのジャンプを置いた。目の前、神楽は銀時の顔を覗き込み口を開いた。

「パピーが帰って来てるアル!彼氏が居るってバレてしまったネ!」
必死に神楽はまくりたてる、とりあえず落ち着け。話しはそれからだと銀時は神楽を退かせ、ソファに座った…。


......

昼飯を食べた後、いつもの公園へと沖田と歩いていた。
その手はごくごく、自然に繋がれた。日常的に喧嘩を繰り出す二人だが、一線を越え、感情の表し方の一つとして、体を重ねると言う事を覚えた。コレにより、口では言えない部分。表に出せない感情の部分を補える様になった。それにより、前よりずっと、二人の距離は近くなったと言えた。
自然と出る笑みは、どちらもが、とても柔らかかった。

公園に行く前に、いつもの駄菓子屋に行きたいアル!。ヘイヘイ。などと言いながらもその手は固く繋がれていた。その背中に声がかかった。あまりの聞き覚えのある声に神楽は瞬間、背中をひやりとさせ、そのまま手を勢いよく離し、夜兔本来の怪力で、沖田を吹っ飛ばした。
そして何事もなかったかの様に後ろを振り向いた。

「パピー!」
額のゴーグルに黄土色のマント、そして、夜兔の証である傘。星海坊主が其処にいた。

神楽は、地面を蹴りあげ、そのまま父親である星海坊主にへと抱きついた。
「どうしたアル!」
胸の中から満面の笑みを出しながら神楽は答えた。
「ちょいと江戸に用があるんでな。ついでにお前の顔でも見て行こうと思ったんだが…。」
星海坊主が言葉を切った。ん?神楽はにっこりと微笑んだ。星海坊主は顎に手をやり、さすりながら口を開く。
「今、神楽の横に男が居たように思えたんだが…。」
んな、んなっッ!!明らかに動揺を見せる神楽に気付かないわけもなく。
星海坊主は目を細めた。
まさか付き合ってる男がいるのか?そう言った目は神楽の顔が引く付くほど低かった。


……To Be Continued…

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