act 25

朝、一番…。
雄叫びが、屯所を突き抜けた。もっと分かりやすく言えば、沖田の室内。
まず、一人目、眼鏡をかけた、突っ込み担当。そして、次は、甘糖。いや、甘味で出来た男。
その雄叫びを聞きつけた、マヨに体を侵食された男、そして、ストーカー万歳の男…。

次々に叫ばれる声に、最初に目覚めたのは、神楽だった。
まだ、半分夢の中、長くストレートな桃色の髪を少し絡ませ、片目で目をこする。
温かい背中の感触に後ろを向き見てみれば、背中を包むように回され抱かれている自分。
その後、目の前に視線を移し、意識をはっきりとさせる。
目をぱちぱち。ぼやける目を擦る。もう一度ぱちぱちとした…。した…。


「ぅぎゃァァァ!し、新八!銀ちゃん!なななんでココに居るアルカ?!」
飛び起きた。口を開け、わなわなと唇を震わせた。気付いた様に、後ろを振り向くと、当然の様に今しがた自分が寝ていた場所に沖田がすやすやと寝息を立てている。
神楽は、視線は前にむけたまま、後ろ手にパチパチと沖田の頬を叩いた。
いつものふざけたトレードマークのアイマスクはしてなく、そこには端整な顔がある。神楽に頬を叩かれた事で、少々眉間に皺を寄せた。が、起きない。
神楽は、大きく手を振り上げ、下唇をかみ締めながら、その手を振り下ろし、沖田の頭部をしばいた。
「起きろ!馬鹿ヤロー!!」
手を頭部に、唸るように起き上がる沖田。その横で神楽は、ばつが悪そうに俯いている。
沖田は、何でィコノヤローと悪態をつきながら目を擦った。
その時には、神楽と沖田の前には四本の足があった。
沖田は不思議そうにその四本足を見る、そして上を見上げた。

『ぬわにやってくれてんだ!オメーはわァァ!!』
目を吊り上げ、土方と二人、銀時は声を張り上げた。
神楽はひゃっと身をちじこまらせた。

大きく、銀時の服がよれ、露になりつつある自分の体を隠す。目をきゅっと瞑って、また俯く。
其処に、一際鋭い声が、神楽の聴覚へと響いた。
「神楽、帰るぞ。」
瞬間、神楽はびくっと体を震わせた。あの時、あの声…。神楽はコクンと頷いた。
そして、銀時の差し出された手に自分の手を差し出した。その手を銀時は掴む。
しかしやっぱり顔はあげられない。あの時、日常を取り戻したはずだったのに、何もかもふりだしに戻った気がした。逆らえなかった。膝をたて、立ち上がる。沖田の方へと視線は一瞬も振り返らない。

土方、近藤は何も言えなかった。
今、足を踏み出そうとするその大きな背中をただ、見つめた。
その時、神楽の体が、後ろへと引っ張られた。自分のお腹に回された腕。引き寄せられた先、そこは間違うこともなく、沖田の腕の中だった…。


……To Be Continued…

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